1. 新シリーズの主旨
今回より新シリーズ「つづりを読めるようになる」を始めます。英語学習の初学者にとって一番の不安であり、できるようになれば一番嬉しいことの1つが「つづりを読める」ということでしょう。
そこで、ここではそのような希望を持っている初学者向けにステップを踏んだ学習内容を提供します。もちろん、かつてつづりを読むということに困難を感じた再学習者の人にも納得した上で力を付けていただける内容だと確信しています。
これから紹介する内容はいわゆる「フォニックス」(phonics)のことなので、知っている人にとってはあたり前のことが多いと思います。ただ、まだまだ日本の英語教育では一般的ではないので、知らない人にとっては「目から鱗」のことがあるかもしれません。
実は、これまでに「発音とつづりに関すること」のコーナーで取り上げてきたことの多くは、フォニックスの考えに基づいたものです。ただ、これまでの記事の多くは「目から鱗…」を追うことを優先していたので、基本を飛ばして応用的な事項を扱っていました。そこで、より初学者や再学習者に易しくなるよう、基礎基本を扱う記事を追加することにしました。
なお、フォニックスを扱う以上はすでに発行されている書物や教え方の理論と内容的に重なる部分もあります。また、使う資料もそのような書物から引用するものもあります。ちなみに、本コーナーでは基本的な考え方や資料の多くを手島良(てしままこと)著『スラすら・読み書き・英単語』(1997, NHK出版)と同『英語の発音・ルールブック』(2004, NHK出版)から拝借しています。より詳しい内容を知りたい方は同書をお読みください。
2. 本シリーズの目標
実際の学習に関する記事は次回からになりますが、それをお読みになる前に本シリーズをすべて読み終えるとできるようになる目標を提示します。それは、次にあげる26の単語を読み方のルールを理解した上で、そのルールどおりに読めるようになることです。筆者の学校の中1も全員できるようになっていますので、みなさんも頑張ってください!
apple, bag, cup, desk, egg, fish, girl, hand, ink, jet, king, lion, moon, notebook, octopus, picture, queen, rabbit, star, telephone, umbrella, violin, window, box, yellow, zebra
さて、すでに気づいている人もいると思いますが、上記の26単語はすべて最初の文字がアルファベット26文字で始まっているものです(ただし、x を除く)。「26の単語」とした時点で、アルファベット26文字すべてを網羅するものではないかと想像した人もいたでしょうね。
apple, bag, cup, desk, egg, fish, girl, hand, ink, jet, king, lion, moon, notebook, octopus, picture, queen, rabbit, star, telephone, umbrella, violin, window, box, yellow, zebra
そして、さらに言うと、最初の文字(xを除く)はすべてアルファベットの「音」で発音される単語ばかりです。なお、これらは筆者の学校で独自にリストした単語で、教科書等に載っているものではありません。そして、これらをリズムに乗って軽快に言う練習をしています。そこで、筆者の勤務校ではこれを「○○(学校名)中アルファベット・チャンツ26単語」と呼んでいます。
え?「別にそんなに驚くほどのこともないよ。全部知っている簡単な単語ばかりじゃん。」ですか? 確かにそうかもしれませんね。
でも、なぜ各単語のつづりをそう発音するかまで理解して読めているでしょうか? 例えば、apple はどうでしょう?「アププル」とか「アププレ」とかつづりを覚えて読んでいないでしょうか? girl はどうでしょうか?「ギルル」ではありませんか? もしかしたら、たまたまこれらの単語を知っていたから読めたのであって、初めて出会った単語だったとしたら読めたでしょうか?
実は、上記の単語はすべて「発音とつづりのルール」どおりに読める単語なのです。それを次回からシリーズ(全10回を予定)で学習していただきます。すべての記事を読み終えたとき、みなさんはこれらの26単語をつづりのルールにしたがって読むことができるようになっているでしょう。どうぞご期待ください!
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