コレクター

昔、『コレクター』(The Collector)という映画がありました。1965年製作のアメリカ映画で、『ベン・ハー』などを監督した巨匠ウイリアム・ワイラーの作品でした。内容は、蝶の収集をしている内気な青年が若い女性を誘拐して屋敷に監禁し、最後はその女性が亡くなると次の若い女性を付け狙うというシーンで終わる怖い映画でした。その映画の影響もあってか、「コレクター」ということばはしばしばマイナス・イメージのものとして使われます。何かをコレクションすることを趣味にしている人は-その多くが男性のようですが-こだわりが強くて気持ちが悪いという印象があるようです。

 

実は、筆者もコレクターです。小さい頃からいろいろなものを集めるのが好きでした。そしてそれは今も変わりません。小学生の頃は、酒蓋(一升瓶の蓋)や仮面ライダー・カード(「カルビー」を大会社に成長させたヒット作)集めに夢中になり、中学生では映画チラシとモデルガン収集に夢中になったものです。この中で今も続いているのが映画チラシ収集です。また、最近になって始めたコレクションでは『スター・トレック』ものの印刷物の収集もあります。おそらく日本で発行された『スター・トレック』関連の雑誌や本はほとんどそろっていると思います。

 

コレクターの中にはとにかく集めればそれで気が済む人もいれば、それを整理して眺めるところまでやる人もいます。筆者の場合は後者でしょう。これまでに集めた映画チラシは”部門”毎(俳優別、ジャンル別等)に分けて、公開年度順に整理してクリアー・ファイルに入れてあります。それを時々出して眺めては喜んでいるのです。

 

では、そうしたコレクター魂(?)が他人から見ればまったく価値のない無駄なことかと言えばそうではありません。こうして物を、特に紙物をきちんと整理して収納することに喜びを見いだすことに慣れていると、仕事上も役に立ちます。会議の資料や学校その他の印刷物、自分が作成した教材、教育関係の雑誌類など、仕事に必要な紙媒体のものはきれいに整理して残すようにしているからです。自分で何かの機会に使いたいときに便利ですし、同僚が何か過去の資料が欲しいというときにはまず筆者のところに確認に来たりもします。

 

その中で筆者の一番の自慢は授業で使う自作プリントのファイルです。中学校教員になってからの34年間で、B5判20ポケット(両面40枚)のクリアー・ファイルが計156冊もあります。しかも、すべて同じクリアー・ファイル(コクヨ ラー371)にまったく同じ書体の手書き背表示(「ENGLISH 1」~「ENGLISH 3」)が同じペン(プロッキー青)で書かれています。昔のファイルを見ることはほとんどありませんが、ここまで続けると最後までやり通したいという変な“こだわり”で続けています。

 

おそらく本ホームページの運営もそうだと思います。自分のこれまでの仕事の成果をきちんと整理して残しておきたいという深層心理がどこかにあるからやっているということもあるでしょう。ここまでで約200ページにもなった本ホームページの記事は、筆者にとっては大切なコレクションでもあるのです。もう少しの間は本ホームページに対してもコレクターでいようと思います。(5/1/2021)

 

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