ませガキが選んだ60年代アメリカTV(その5)

同名タイトルの第5弾(最終回)です。最終回にふさわしく、自分が選んだナンバー1作品です。

 

第1位『コンバット!』(Combat!1962-67

この企画を思いついたときからこの作品を第1位にしようと決めていた絶対的な番組です。本国アメリカでは1962年から67年にかけて5シーズン・計152話が放送され、日本でもほぼ同時期にTBS系で水曜日の夜8時というゴールデン・タイムに放送されて人気を博しました。なお、5シーズンの中で最後の第5シーズンだけがカラーで、第1~第4シーズンは白黒で製作されました。

 

登場人物は、ヘンリー少尉(リック・ジェイソン)とサンダース軍曹(ヴィック・モロー)を主役に、フランス語が話せるケーリー(オリジナルは「ケイジ」、ピエール・ジャベール)、ぼくとつとした大男のリトルジョン(ディック・ピーボディー)、口の悪いお調子者のカービー(ジャック・ホーガン)の3人の2等兵(後に上等兵)、情に厚い衛生兵のカーター(オリジナルは「ドク」、コンラン・カーター)たちをレギュラー、準レギュラーとしていました。

 

物語は、第2次大戦中のノルマンディー上陸作戦以降のフランスを舞台にした戦闘場面を中心としたものです。ほぼ毎回、ドイツ軍との激しい戦闘(撃ち合い)の場面がありますが、単なる「アクションもの」ではなく、むしろ登場人物の心情を描いた「人間ドラマ」でした。また、敵であるドイツ軍の兵士を含めて毎回登場人物の誰かの行動に焦点が当てられた話がほとんどで、戦闘場面を淡々と描きながら、その結果に対してはヒューマニズムを感じさせる場面が多く、そのあたりが日本でも人気を博した理由でしょう。ただし、ドイツ軍の描き方にはかなりの偏見があるように見られ、ほとんどのドイツ軍兵士が「ハンス」か「クルト」という名前で呼ばれていたように思います。

 

オープニング・タイトルはプロローグの後にあり、あの勇ましい、リズム感のある前奏の後に "Combat!" というタイトルが流れ、"Starring, Rick Jason, and Vic Morrow." という主演の2人の俳優が紹介されます。この部分には "Starring, Vic Morrow, and Rick Jason." と2人が逆になっているバージョンもあり、その2つがほぼ交互に使われていました。日本ではサンダース軍曹の方が人気があったので、多くの人が後者のバージョンを喜んで見ていたのではないかと思います(筆者がそうでした)。オープニングで紹介される出演者はこの2人だけで(他の出演者はエンディングで全員紹介)、ゲスト俳優がいるときだけ、"Guest Star, ...." と紹介されました。

 

そのゲスト・スターには、人気テレビ・シリーズということもあって、60年代に人気が出始めて70年代に大スターになった俳優が続々と出演していました。例えば、ロバート・デュバル、ジェームズ・コバーン、チャールズ・ブロンソン、エディー・アルバート、リー・マーヴィンなどがすぐに思い浮かびます。また、テリー・サバラスやサル・ミネオなどはアメリカ軍兵士としてだけでなく、フランス人レジスタンス役などでも登場しています。

 

なお、主演のリック・ジェーソンは日本での人気もあって、『人間の証明』(1977年)や『吉田小学校』(1983年)などの邦画にゲスト出演しました。一方のヴィック・モローは多くの人気テレビ・シリーズの主演者にありがちな”サンダース軍曹”のイメージがついてしまい、その後はテレビ、映画ともにあまり出演作品に恵まれませんでした。そして、再起をかけて臨んだスティーブン・スピルバーグ製作の映画『トワイライト・ゾーン-超次元の体験』(The Twilight Zone、1982年)の第1話(マイケル・ジャクソンの「スリラー」を監督したジョン・ランディスが監督の話)に主演したものの、撮影中に頭上を飛ぶヘリコプターが落ちてくるという事故に巻き込まれて帰らぬ人となりました。当時、日本の各局のニュースでも「『コンバット!』の主演俳優が事故で死亡」と訃報が伝えられ、多くのサンダース軍曹ファンをがっかりさせました。

 

さて、今回紹介するのはYouTube上にあがっているオープニング・タイトルの映像です。第1シーズンから第5シーズンまで連続して編集してあるもので、少しずつ変化していく様子を楽しむことができます。日本でもオリジナル版をそのまま流していたので、日本版はありません。このテーマ曲を゙聞くと、若い人でも「あれっ、どこかで聞いたことがあるような…」と思うでしょう。そうです。この曲は、高校野球などの応援曲として今でもよく使われている、通称「コンバット・マーチ」の原曲だからです。


また、今回は152話ある中で筆者がナンバー1だと思っているエピソードである第72話『小さな回転木馬』(The Little Carousel)の日本語版にもリンクを貼っておきます。筆者以外にもこの話のファンは多いようです。 

 

<注>再生すると音が出ます。

 

<オープニング・タイトル>

 

<第72話『小さな回転木馬』(日本語版)>