過去形と過去進行形のちがい

【質問】

過去形と過去進行形のちがいがよくわかりません。

 

【回答】

中2で過去進行形を教えると、たいてい授業の後に「過去形と過去進行形はどうちがうんですか?」という質問をしにくる生徒が来ます。実は、授業中もその点に注意して教えているつもりなのですが、一度では理解できない生徒もいるようです。もしかしたら、これをお読みの方もそうかもしれませんね。

 

過去形の文と過去進行形の文のちがいは、現在形の文と現在進行形の文のちがいとほぼ同じと考えていいと思います。そこで、まず後者のそれぞれが表す内容を確認してみましょう。

 

○現在形の文…現在の習慣、状態、普遍の事実などを表す。

・I listen to Kiso-eigo every morning.…現在の習慣

・He lives in Tokyo now.…現在の状態

・The Earth goes around the Sun.…普遍の事実  ※the earth, the sunもあり

→つまり、過去も現在も未来も変わらないことを表す。

 

○現在進行形の文…現在目の前で進行している内容、現在の一時的な状態を表す。

・I am listening to Kiso-eigo now.…現在目の前で進行している内容

・He is living in Tokyo now.…現在の一時的な状態

→つまり、一時的に現在起こっていることを表す。

※注:一般的に「住んでいる」は現在形で表す。ただし、「一時的に住んでいる」ということをあえて強調したい時は現在進行形で表すこともある。

 

以上のことから、日本語の「~している」に惑わされて(例えば「住んでいる」)使い方をまちがえないようにしましょう。どういう状況を表そうとしているのかを見極めて使い分ける必要があります。

 

そこで、上記をふまえて過去形と過去進行形のちがいを確認してみます。

○過去形の文…過去の出来事や動作、状態などを表す。

・I listened to Kiso-eigo this morning.…過去の動作

・He lived in Tokyo for ten years.…過去の状態

→つまり、過去に起こった事実をそのまま表す

 

○過去進行形の文…過去のある瞬間に進行していた内容、過去の一時的な状態を表す。

・I was listening to Kiso-eigo at 6:30.…過去のある瞬間に進行していた内容

・He was living in Tokyo at that time.…過去の一時的な状態

→つまり、過去のある瞬間や一時的に起こっていたことを表す

 

しつこいようですが、日本語の「~していた」に惑わされずに、表そうとしている内容をよく考えて使い分けてください。

 

さて、ここからは少し専門的な話になりますが、現在進行形や過去進行形と言うと、「be動詞+動詞のing形」で表すと説明されます。確かにそのとおりなのですが、実は「~している」状態を表すのは「動詞のing形」だけです。be動詞は「(そういう状態)である/あった」という動詞として使われています。

 

これを理解すると、動詞のing形は tall, beautiful, kind などの形容詞と同じ場所で同じような役目で使われていると考えることもできるわけです。例えば、I was listening to .... という文は「私は~を聞いている状態でした。」と表現しているのです。つまり、現在進行形や過去進行形の文は<主語+動詞+補語>の文、すわわち「SVCの文」ととらえることもできます。

 

このように考えると、受動態の文も同様に説明できます。受動態と言えば「be動詞+動詞の過去分詞」で表すと説明されます。しかし、こちらも「~される」という状態を表す意味は「動詞の過去分詞」にだけにあります。つまり、be動詞はこの場合も「(~されている状態)である」ということを表しています。そして、この動詞の過去分詞も動詞のing形と同様に形容詞と同じように使われているのです。

 

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