「座る」はなぜ be seated と受け身になるのか?

【質問】

7月号 64ページの乗務員のせりふに Please keep your seat belts fastened when you are seated. とありますが、なぜ受け身の形になるのですか。...when you seat でもよさそうに思うのですが…。

 

【回答】

ご質問の意図は、「自分で『席につく』のだから、受け身になっているのはおかしいのではないか」ということだと思います。ところが、英語の中には日本語では自らの意志で行っているように思われることを受け身で表すことがけっこうあります。

 

 ① I was surprised at the news.  私はその知らせに驚きました。

 ② I am interested in that story.   私はその物語に興味があります。

 

いずれの文でも「~に驚いた」「~に興味がある」ですから、日本語の意味からは受け身になりそうもないのに、英語では受け身で表すことをご存じだと思います。これは、surprise が「~を驚かす」、interest が「~に興味を持たせる」という「~させる」というような意味の動詞であることからきているのです。つまり、①は「~に驚かされた」、②は「~に興味を持たされている」というように表す必要があり、それぞれそのようになっています。

 

さて、ご質問の表現もこれと同じ理由によってそのようになっています。辞書で seat を引いていただければわかりますが、seat には「座らせる」をはじめとして「~させる」という意味はあっても、「~する」という意味はありません。したがって、この文では ...when you are seated.(あなたが座らされている時は…)と表す必要があるのです。なお、この部分は when seated と you are が省略されて表現されることもよくあるようです。

 

中学校1年生で習う「座ってください」は Please sit down. ですね。これは sit が「座る」という意味の自動詞だからです。これを seat を使って表すと、Please be seated. となります。筆者も授業でよくこの表現を使っています。(6/1/2019)

 

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