世界一周旅行に行く

タイトルを見て、「このコロナ禍に世界一周旅行に行ったのか?」とか「定年退職を機会に世界一周旅行を計画しているのか?」と思った方には申し訳ありません。ちがうんです。そんなことをする勇気も、時間も、お金もありません。でも、「世界一周旅行」を経験しました。

 

映画『トータル・リコール』(Total Recall, 1990)や『マトリックス』(The Matrix, 1999)を見て以来、現実と仮想世界のちがいは何なのかということをよく考えます。旅行のことで言えば、私たちが「現実」として実際に現地を訪れるのと、ネットを通して現地の映像を見るのとで何がちがうのでしょう。「いや、いや。実際に旅行するのと映像を見るのとでは全然違う」と言う方も多いでしょう。それは筆者もわかっています。これまでに日本中をバイクで旅し、1年間アメリカの大学に留学し、海外旅行に6回行き(生徒引率の3回を含む)、家族と年に1回は旅行をして、実際に旅することの楽しみは知っていますから。

 

しかし、「実際に自分の目で見た記憶と映像を見た記憶のちがいは何なのだろう?」ということを考えてしまうと、明確な答えは出せません。目に入ってくる映像を眼球の中の網膜でとらえ、それを視神経を通して脳で認識するということにちがいはないからです。後で記憶を振り返ったときに、思い出した映像は実際の経験に基づくものなのか、なんらかのデバイスを経由した映像を見たことに基づくものなのか。それぞれの経験の周辺事項を忘れてしまったり、覚えていたはずの情報が混乱してしまったりすると、実際には経験したことではない"映像"を実際に経験したことのように思い出してしまうかもしれません。

 

と、まあ、そんな難しい話は置いておいて、実際に世界一周旅行ができるわけではないので、せめて映像でだけでも経験してみようと、先日ある有名な旅行会社の「世界一周オンラインライブツアー」に妻と一緒に参加しました。行き先は、エジプト、スペイン、シンガポール、イグアスの滝、ペルー(クスコ)の5カ所です。これを5カ所計90分のリレー・ライブ中継で経験するというツアーでした。料金は1人2,500円、2人で5,000円という手頃な値段で、夜9時に"出発"するというのも参加しやすかったです。

 

最初のエジプトは当初予定のギザのピラミッドではなく(ライブ配信の制限のため)、世界遺産のルクソール神殿でした。現地のガイドさんが1カ所をとても丁寧に説明して案内してくれました。

 

2カ所目はスペインのどこかと思えばバルセロナ、しかも1カ所となればそこしかないだろうというサグラダ・ファミリアでした。地下鉄の出口を出ると目の前にそびえ立つ同教会。これも現地の日本人ガイドさんの丁寧な説明で、新たな発見(世界遺産になっているのはガウディが生きていた時に建てられた部分のみ)がありました。

 

3カ所目はシンガポールです。日本との時差は-1時間といことですでに夜でしたので、日本人のガイドさんが主に夜景のを案内してくれました。フラートン・ベイ・ホテルからマーライオン公園に行ってマーライオンを観光し、そこから有名なホテル・マリーナ・ベイ・サンズを眺めるというものでした。

 

4カ所目はペルーのクスコ。あのマチュピチュの玄関口の町です。インカ帝国とスペインの文化が融合した町で、町のいたるところにインカ帝国の名残があります。現地人ガイドさんがその中の石垣の紹介にこだわっていて、そのアップを記念写真として撮るように何度も勧めていたのに笑ってしまいました。

 

そして最後はイグアスの滝でした。同滝はブラジルとアルゼンチンにまたがっているそうで、今回はブラジル側からの中継でした。滝が流れ落ちるところに架けられた橋の先端まで行って見る景色は最高で、青空の下で水しぶきのために出ている虹がきれいでした。ここはぜひ自分で行きたいと思いました。

 

あっという間に90分が経ち、その後は1カ所だけ追加の説明を聞けるとあったので、シンガポールを選びました。ガイドさんは他の場所を見ている間にマリーナ・ベイ・サンズまで行っていて、そこのショッピング街を約30分かけて案内してくれました。シンガポールもコロナ禍でガラ空きでしたね。

 

今回の“世界一周旅行”はとてもいい経験になりました。終了後すぐに妻と「次はどこに行こうか?」という話が出たのは言うまでもありません。(8/28/2021)

 

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