① とにかく誰かと話してみる

何かの技能を向上させる第一の方法は、とにかく学習したことを実際に使ってやってみることです。それは、スポーツで言えば、練習したことを試合で試してみるということと同じです。英語学習で言えば、それは習ったことを実際に使って会話をしてみるということになります。つまり、誰かと話してみるということです。一番いいのは英語圏の国に行ってそこで生活することですが、そこまで大がかりなことになるとこのコーナーの内容にはそぐわなくなってしまいます。したがって、日々の生活の中でそのような場面を作るということになります。

 

「そんなことを言ったって、自分の周りにはネイティブ・スピーカーがいるわけではないし、英会話学校に通うのにもお金がかかるからできないよ」という声が聞こえてきそうです。まったくそのとおりです。でも、ちょっとした意識改革と行動の変化でできそうなことがありますので、その方法をいくつか紹介しましょう。

 

ア)ALTの先生と話してみる

みなさんが小・中・高校生であれば、おそらく学校にALT(assistant language teacher, 言語(英語)指導助手)の先生がいらっしゃるでしょう。ALTの先生は多くの児童・生徒にとって最も身近にいる英語のネイティブ・スピーカーです。その人を“利用”しない手はありません。

 

そうは言っても、ALTの先生が学校に常駐しているとはかぎらないので(非常勤の先生が多い)、授業以外の時間に長時間自分だけで独占することは難しいと思います。でも、それであきらめてしまっては話は進みません。そこで、授業が始まる前や授業が終わった直後にサッと近づいていって話しかけてみましょう。よほど忙しいかあまり人と関わりたくないと思っている人(実はそういう先生がいないわけではありません)以外であればきっと気軽に応じてくれると思います。

 

もしALTの先生が学校に常駐している人であれば、昼休みや放課後に職員室に行って話しかけてみましょう。授業の合間よりは応じてくれる可能性が高いと思います。ただし、ALTの先生(特に西洋人の場合)は権利意識が高い人が多いので、休み時間まで仕事をさせられることを嫌がる人もいます。ですから、話しかけるときには必ず Excuse me, but can I talk to you for a moment? などと許可を得るための質問をしてください。くれぐれも、「先生なんだから何でも無償でやってくれるのが当たり前だ」のような態度で臨まないようにしてくださいね。

 

さて、話す内容は何でもいいと思いますが、できるだけ多くの話す機会を持つためには、一方的に自分の関心事だけを話しているだけでは相手もだんだんとあなたを煙たく思い始めるかもしれません。したがって、話す内容はその先生が自己紹介で話したことや授業中に話題になったことなどを題材にしてみるのがいいと思います。

 

話す時間は短くても、数をこなせばそれなりの量になりますし、何よりもネイティブ・スピーカーと気軽に話す度胸が身につきます。ぜひトライしてみてください。

 

イ)友だちや家族と話してみる

自分も教員なのでわかりますが、学校の先生はとても忙しくしています。休み時間も実はその授業の片付けと次の授業の準備に追われて“休み”ではない場合がほとんどです。そのような先生(ALTを含む)をつかまえて話すほどの“ずうずうしさ"は自分にはないという人もいるでしょう。そういう人は、身近にいる友だちや家族に相手を頼んでみてはどうでしょうか。

 

「そんなことを頼んでも、きっと断られるきまっている…」と思う人もいるかもしれませんが、本HPを読んで英語を使いこなしたいと思っているような人であれば、周囲にいる人もそういう人が多い可能性が高いはずです。筆者の教員としての経験から言うと、仲良くなる児童・生徒同士というのはたいてい同じような感覚を持っている者同士だからです。それは家庭環境にも言えることで、本HPの読者の家族であれば子供の外国語学習を手伝ってあげようと思っている人が多いと思います。

 

ですから、「当たって砕けろ」くらいの気持ちで相手をしてもらうように頼んでみましょう。「ねえ、ねえ。ちょっとだけ英語で話してみない?」とあなたの気持ちを伝えてみてください。それで相手が応じてくれたらしめたものです。

 

ウ)自分と話してみる

ア)やイ)がうまくいっているかどうかに関わらず、もう1つの手段として「自分に英語で話しかけて、それに英語で応じてみる」という方法があります。なんだか独り言を言っている変な人のような印象を持つかもしれませんが、登下校中や自分の部屋にいるときなど周りに人がいないときにやってみることをお勧めします。

 

話す内容は何でもかまいませんが、初学者だとそんなに多くの表現を知りませんから、内容から探すのではなく、授業で習った表現を思い出して、それを自分の立場に置き換えて話しかけ、それに応えるようにしてみるといいと思います。例えば、ごく初期であれば What food do you like?  I like okonomiyaki! などとやってみます。太字のところをいろいろ変えれば結構多くのことを言えます。中3くらいであれば Is it difficult for you to study English?  No,....  Yes, sometimes it's difficult. などと一人二役で会話してみます。

 

習った表現をノートなどに整理しておいて、それを見ながら「今日はこの表現で会話してみよう」などとやってみるのもいいですね。そうすると、習ったことをもれなく練習することができます。

 

◇おわりに

どうでしょうか。ここではお金をかけないで自分の努力でやってみる方法をご紹介しました。他の方法と並行して実施しなががら力をつけていってください。

 

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