通勤仲間

みなさんは通勤や通学に何を使っていますか? 筆者は、初任校(3年)と2校目(7年)は自動車で通勤していましたが、現任校は都心にあることもあって、25年間ずっと電車で通勤しています。当初は8時過ぎに学校に着くように通っていましたが、段々とそれが早くなり、ここ数年は7時前に学校に着いています。ということは朝自宅を出る時間も結構早いわけで、毎朝5時半に家を出ています。

 

そんな早い時間でも、自宅の最寄り駅では都内に通うと思しき人が結構ホームに並んでおり、10両編成4ドアの各所にそれぞれ3~4人がいます。この時間帯は20分に1本くらいしか電車が来ないこともあり、たいていは同じ場所に同じ人が並んでいて、電車に乗り込んだ後もほぼ同じ人が同じ場所に座っています。自分が座る場所もたいていは同じ場所です。同じ状況は途中の乗換駅から先でもそうで、こちらでは3~5分おきに電車が出ているのにも関わらず、勤務校の最寄り駅までの約50分間も何人かの”顔見知り”と一緒です。ですから、いつもいる人がいなかったりすると、「今日はあの人は休みなのかな?」などと思ったりします。

 

もちろん、だからと言って、お互いに声を掛け合ったりするわけではありません。お互いに相手を一瞬チラッとは見るものの、すぐにそれぞれが自分の世界に入ります。特に、この時間帯の電車に乗っている人はラッシュを避けてゆっくり通勤したいと思っている人が多いようで、ほとんどの人が座るとすぐに寝てしまいます。筆者はたいてい本を読み始めますが、しばらくすると眠りに落ちてしまいます。

 

そんな”通勤仲間”の中に、以前に唯一毎朝挨拶をするようになったオジサンがいました。歳の頃は50代の半ばくらいで、いつも背広をピシッと着こなしており、どこかの大手企業の重役さんのような人でした。きっかけは、いつもホームの同じ場所に並んでいるオジサンが筆者に「背広の襟がまがっていますよ」と声をかけてくれたことでした。筆者が「ありがとうございます」と言ってあわてて襟を直すと、そのオジサンも笑顔を返してくれました。きっとそのオジサンもいつも同じ場所に並んでいる筆者のことを気にかけてくれていたのでしょう。

 

その翌日から、毎朝ホームでそのオジサンに会うと「おはようございます」と挨拶をするようになりました。また、一度だけ帰宅時にも同じ電車に乗り合わせて挨拶をしたことがありましたが、それ以上のことはお互いに干渉しようとはしませんでした。そんなことが5年くらい続いたでしょうか。ある年の3月末を境にそのオジサンとは会わなくなりました。きっと定年退職されたのでしょう。あれからもう10年近く経ったと思いますが、どこかでばったり会う機会があったら、また挨拶ができるといいなと思っています。

 

今回はもしかしたら、人によっては「ある!ある!」と言っていただける内容だったかもしれません(笑)。(3/1/2020)

 

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