will と be going to は交換してはいけない

0.イントロダクション

シリーズ「交換してはいけない」の第2弾です。今回は、中2で習うことが多い未来の表現に関する話題です。まず、みなさんは次のような問題にどう答えますか。

 

【問】次の2つの文が同じ意味になるように、空所に適語を入れなさい。

 ア)It will rain in the afternoon.

 イ)It (    )(    )(    ) rain in the afternoon.

 

おそらく、ほとんどのみなさんが「これは簡単だよ。be going to を知っているかどうかの問題だから、答えは is going to だ。」と言うでしょう。

 

確かに、筆者も同じように答えるでしょう。しかし、この問題には“問題”があります。それは、問いに「同じ意味に」と書かれていることです。はたして、このごく当たり前のように昔からある willと be going to を同じ意味の表現として入れ替える問題は適切なのでしょうか。

 

1.2つの表現のもつ本来の意味を理解する

この2つの表現の意味を『ジーニアス英和辞典』(大修館書店)で調べると、それぞれ次のように書かれています。

・will…~するつもりである、~でしょう

・be going to…~するつもりである、~するだろう

 

これだけを見ると、両者のちがいはほぼないように思われます。だから、0で取り上げたような問題がよく出されるのです。しかし、それぞれに取り上げられている例文とその意味を詳細に見ると、両者にちがいがあることがわかります。

 

① I will give you my answer tomorrow. 明日返事します。

② It will snow tomorrow. 明日は雪になるでしょう。

③ I'm going to buy a car. 車を買う予定だ。

④ Look! It's going to rain. ごらん。雨がふりそうだ。

 

①と③は話し手の意志を表す文、②と④は天気を予想する文です。日本語訳も参考にすると、will と be going to の使い分けが見えてきます。どうちがうでしょうか?

 

実は、will はその話をしている時点での意志や単純な予想を表し、be going to はその話の内容が実際に進行している状況を表しているのです。

 

もう少し詳しく説明しましょう。まず、同じ話し手の意志でも、①は相手に明日返事をするつもりであることを言っているだけで、本当に返事をするかどうかはわからないのに対して、③はすでに車を買うことを決めて手続きを進めていることを表しています。一方、天気の予想の方は、②は天気予報か何かで雪が降りそうであると予想しているだけであるのに対して、④は雲行きを見ると今にも雨が降りそうだということを表しています。be going to は見た目で進行形になっていることから、話題になっていることが実際に進行中である場合に使えばいいということがわかるでしょう。

 

以上のことから、0.の天気の予想は、アは天気予報などから「午後には雨が降るだろう」と単に予想しているのに対して、イは雲行きなどから「午後には雨が降りそうだ」と確実視しているということになります。したがって、両者は決して「同じ意味」ではないのです。

 

2.2つの表現を正しく使い分ける

つまり、will を使うか be going to を使うかは、表そうとしている内容で変わってくるのであり、両者を同じものとして入れ替えてはいけないということがわかったと思います。したがって、私たちが使う場合も、伝えたい内容に合わせて使い分けるようにしたいものです。

 

では、次のようなことを言いたい場合にはどちらを使った方がいいでしょうか?

➀ 今週末にテニスをしようと思ったとき

② 今週末にテニスをしようと決めて、あれこれ予定を立てているとき

 

そうですね。それぞれ次のように言えばいいですね。

➀ I will play tennis this weekend.

② I am going to play tennis this weekend. 

 

未来のことを表す時には、ぜひともこの2つの表現の持つ意味をきちんと考えて使い分けてください。(2/10/2019)

 

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英語教師の方へ

今回話題にしたことは、2つとも出てきたところで、ぜひ生徒に指導したい内容です。ただ、習ったばかりの頃は、まだそれぞれの持つ細かいニュアンスのちがいまでは頭が回らず、そもそも助動詞の使い方や be going to の形自体をマスターするのに精一杯でしょうから、ある程度使い慣れてから指導するのがいいと思います。

 

ただ、気をつけたいことは、どちらか先に出てきたことを利用して、それと同じ意味の別の表現があるという教え方はしてはいけないということです。また、まちがっても、冒頭で取り上げたような入れ替え問題をテストで出題しないようにしてください。筆者は、前後の英文や日本語で状況設定を十分にした上で、どちらか適切な方を入れる問題を出すようにしています。