You're kidding!「あなたは子供!」?

前回の「3. You bet.「あなたは賭ける」?」は、アメリカ留学中に知った表現としては使い始めるまでに少し時間がかかったと書きましたが、こちらはかなり早い段階から使い始めた記憶がある表現です。それは、それだけ言いたくなる機会が多かったことと、これに代わる適当な表現がなかったこと、そして何よりも自分の周りにいた多くのアメリカ人が使っていたからです。

 

筆者が中高生の頃はまったく知らなかった表現ですが、最近では中学校の英語の教科書にも登場しているので、すでに知っている人も多いのではないかと思います。そうです。ちょっと古い表現で言えば「うっそー!(嘘)」にあたり、最近でも通用する表現で言えば「マジ?」という日本語にあたる表現です。

 

この表現を文法的に分析してみると、are kidding となっていることから、kid という動詞が使われている現在進行形であることがわかります。そこで kid を辞書で調べてみると、動詞では「からかう、かつぐ」「冗談を言う」という意味があることがわかります。そして、これは元々古記北欧語が語源の「子ヤギ」という名詞が「子供」や「がき」という意味で使われるようになり、それが「子供のようなことをする」という動詞として使われるようになって、現在は上記のような意味で定着しているものです。つまり、「あなたは冗談を言っている」ということですね。

 

この表現が日本人に一般的に知られるようになる前は、「うそ!」や「マジ?」にあたる英語を言おうとすると、ネイティブ・スピーカーには失礼になる表現を言ってしまうということがよくあったと聞きます。Really?(ホント?)と言い換えられればいいですが、「嘘をつく」という英語である lie を思い浮かべて、You're lying!(あなたは嘘をついている!)とか You're a liar!(あなたは嘘つき!)と言ってしまったからです。この lie という語は、ネイティブにとっては「(意図的に)嘘をつく」というネガティブな意味を持つ語なので、「この嘘つき!」と真面目に言われているように感じて気を悪くしてしまうというわけです。

 

なお、Are you kidding? という疑問文の形もよく耳にしますが、こちらは疑問文であるので、「うそ!」「マジ?」というよりは、「お前、ふざけてんのか?」というニュアンスが強くなる感じがします。相手が言ったことに相づちを打つ程度の反応であれば、You're kidding! と肯定文の形の方がいいでしょう。

 

You're kidding! はとても使いやすい表現です。ついでに言うと、同じような意味で No kidding! と言う人も多くいます。「うっそー!」や「マジ?」と言う場面があったら、笑顔で言ってみてください。きっとその後の会話もスムーズに進むことでしょう。

 

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