場所を表す in, on, at のちがい

【質問】

4月号 44ページ(Scene 6)のアシュリーのセリフで、She lives in a flat just around the corner in Meadow Lane. とありますが、in ではなくて on ではないのでしょうか? 35ページの on Suzuran Road や59ページの on Nakajima Street とどうちがうのでしょうか。また、できれば場所を表す in, on, at の使い方も教えてください。

 

【回答】

まず、ご指摘の部分についてはテキストのとおりでまちがいありません。今年の「基礎英語2」ではイギリス英語とアメリカ英語の両方を紹介していますが、ご指摘のあった部分はまさにその2つのちがいからくるものです。アメリカでは「~通(どおり)に」ということを表すときに on を使うことが普通で、on 30th Street とか on Woolworth Avenue などと言います。35ページや59ページの I can do it! に使われている表現はまさにこちらが使われています。これに対して、イギリスでは in を使うことが一般的です。ご指摘のあった44ページの文は、イギリス人のアシュリーの台詞なのでイギリス英語、すなわち in が用いられているというわけです。通りの名前に Lane が使われているのもイギリス英語の特徴です。

 

次に、ご質問の後半にある、場所を表す前置詞についてまとめてみたいと思います。学校などで前置詞を習うとき、その前置詞が使われている英文の意味を理解してもらうために、便宜的に日本語が用いられます。例えば、on なら「~の上に」などです。しかし、前置詞を正しく理解して使いこなすにはそれだけでは十分ではありません。それは、次のようなことを on を使って表せるからです。

 

① a book on the desk  机の上の

② a picture on the wall   壁にかかっている

③ a light on the ceiling  天井の下の電灯

 

日本語の意味から想像される位置関係から言えば、②や③で on が使われているのは変な感じがしますね。実は、場所を表すときの on の元の意味は「~と(面で)接して(いる)」です。これを知れば、上の3つの表現すべてでなぜ on が使われているのかを納得できると思います。

 

さて、at, on, in はそれぞれの前置詞が持っている元の意味を正しく理解すればある程度使いこなすことができます。これらは場所や時間を表すときに使われますが、いずれの場合も次のような元の意味があって使い分けられています。

 

・at…ほとんど「点」の場所や特定の時刻にあることを表す

・on…狭い場所や短い時間で接していることを表す

・in…広い、あるいは周りを囲まれている場所や長い時間の中にいることを表す

 

それぞれの区切りがどこにあるのかということについては、歴史的事情や国によるちがいがあるので一概には言えませんが、どの前置詞を使うかで相手に与えるイメージが異なることだけは次の2つの例文でわかります。

 

① I arrived at Tokyo.  

② I arrived in Tokyo.

 

いずれの文も「私は東京に着きました。」という意味ですが、どちらで言うかで相手に与える印象が異なります。①は東京を「点」ととらえていて、例えば地図上の東京(または東京駅)に着いたということを表しています。一方②は東京を「広い場所」ととらえていて、例えば電車の中から東京の街並みを眺めながているような様子を表しています。

 

<補足>

ここで取り上げたことは、「文法に関すること」「5. 前置詞の使い方②:in, on, at の使い分けは難しくない」でも詳しく説明しています。参照してください。

 

元に戻る