今回取り上げる表現は高校生にならないと習わない表現です。中学生以下の方は飛ばしていただくか、少し背伸びした予習のつもりでお読みください。
関係副詞について説明するにあたっては、事前に関係代名詞についてきちんと理解しておいてもらいたいのですが、それについては「学習法に関すること」のコーナーの「14. 後置修飾の理解が英語学習の最大のポイント(その3)」や本コーナーの「関係代名詞は who, which, that だけでじゃない」でも取り上げていますので、そこから復習したい人はそちらをお読みになってからこちらへお戻りください。
さて、関係副詞というものがどういうものかを知っていただくために、まずはそれが使われているいくつかの例文を見てみましょう。
① Tuesday is the day when I am busiest.
② This is the factory where my brother works.
③ The reason (why) he has lost his job is not clear.
④ I'll never forget when/where I first met you.
ここで関係代名詞のことを思い出してください。それには主格、目的格、所有格の3種類がありましたね。それぞれ以下のように使われていました。
【主格】Ms. Brown is a teacher who came from the UK.
【目的格】This is the letter (that) I received yesterday.
【所有格】This is the story of a man whose wife suddenly lost her memory.
※ただし、関係代名詞 whose は中学校では学ばない。
これらを見てわかることは、いずれの関係代名詞もその前の部分にある名詞(斜体字の部分。「先行詞」と呼ばれる)と同じ語を表しており、その語を関係代名詞が入った文のような表現(節)で修飾しています。
関係副詞も基本的にはこれと同じです。ただし、関係“副詞”なので、関係節の中で副詞の役目をしている表現がそれに置き換わっているわけです。それを先述した①~④の文で確認してみましょう。
まず、①は時間を表す表現(the day)にかかっていますから、「いつ」を意味する when が使われています。次に、②は場所を表す表現(the factory)にかかっていますから、「どこで」を表す where が使われています。そして、③は理由を表す表現(the reason)にかかっていますから、「なぜ」を表す why が使われています。なお、④は①~③のような”かかっている語”(=先行詞)が省略されたものです。しかも、関係節(関係副詞を含む後半の部分)の内容から省略されている部分が時間を表すものとも場所を表すものとも考えられるので、when と where のどちらも入る可能性があります。
以上が関係代名詞とちがうところで、関係節の中の主語や目的語にあたる部分が変化したものが関係代名詞であるのに対して、時間・場所・理由などを表す表現、つまり関係節の中では副詞句にあたる表現が変化したものが関係副詞というわけです。
この説明を視覚的にもう少し易しく表してみましょう。①~③の関係節の部分は、次の太字の部分が関係副詞になって前に出てきたと考えることができます。
①… I am busiest on the day
②… my father works at the factory
③… he has lost his job by the reason
つまり、後半の部分の中で関係代名詞は名詞句であるのに対して、関係副詞は前置詞を含んだ前置詞句(副詞句)で表す内容だということがわかります。意味としては「~で」のようになりますから、副詞と同じ働きであった部分を代名詞に変えて関係節の先頭にもってきているのです。一見すると両方とも先行詞が名詞句ですのでちがいがわかりませんが、「関係~詞」がもともとはどのような表現が変化したものなのかを考えるとちがいが見えてきます。
最後に、関係副詞の特徴をまとめておきます(ここまでの説明になかったことも含みます)。
【参考】A NEW APPROACH to English Grammar<ニューアプローチ英文法>(東京書籍)
(1) 関係副詞は、副詞と接続詞の働きを兼ねる語で、主に制限(限定)用法にのみ用いられる。また、関係副詞を受ける語句である先行詞がある場合とない場合がある。
(2) 関係副詞を受ける語句がある場合は、たいてい次のような関係副詞が使われる。
・(時を表す語句)when..., (場所を表す語句)where..., (理由を表す語句) why...
・that も時を表す関係副詞として用いられるが、省略されることが多い。
(3) 関係副詞を受ける語がない場合は、(2)のようにその語句を補って考えると理解しやすい。
また、この場合は how も関係副詞として用いられる。
(4) 関係副詞には他に以下のようなものがあり、これらを使う場合はそれを受ける語句はない。
・whenever…「~はいつでも」
・wherever…「~はどこでも」
いかがだったでしょうか。これで関係代名詞と関係副詞のちがいが明確になったと思います。「まだよくわからないなあ…」という人は全体を何度も読み返してみてください。きっと「スっと」理解できる瞬間が訪れるはずです。