なぜ「秒」は second なの?

【質問】

「分」を表す語は minute という専用の語があるのに、「秒」を表す語はなぜ「2番目」という意味の second を使うのですか?

 

【回答】

今回の質問は、時間を表す語(hour, minute, second)がひととおりそろったところで生徒からよく受けるものです(ただ、一方で「そんなことには気づきもしなかった」という人が多いのも事実です)。この質問への回答の鍵となる語があるので、まずはそこから話を始めましょう。その鍵となる語というのは、minute です。

 

この語がなぜ日本語で「分」という意味になるのかという点を見てみましょう。辞書でこの語を調べると、minute という語が2つ見出し語になっていることに気づくと思います。1つは、みなさんもよく知っている「分」を表す名詞で、minute「ニュット」と発音します。もう1つ(たいていは2番目にリストされています)は、「微小な、微細な」を表す形容詞で、minute「マイヌート」と発音します(それぞれ太字はアクセントの位置を表します)。

 

そもそも minute が「分」という名詞として使われるようになったのは、minute(「微小な」)という形容詞が元になっているからで、「より小さい物」というのが元の意味です。そして、hour(「時」)を60等分した、つまり小さく分けたものminute と呼ぶようになったわけです。日本語の「分」もこの「分けた」というところから来ています。

 

しかし、hour を細かく分けた minute でも、感覚的にはけっこう長い時間がありますよね。そこで、minute をさらに60等分した時間が考えられました。この「さらに」分けるというのは「2番目の」分ける行為を指します。そうしてできあがった時間の単位を「2番目の」を表す second にしたというわけです。つまり、"second" とは "second minute" のことなのです。なお、日本語の「秒」をこれに宛てているのは、この漢字が「きわめて微細」という意味を表すからです。

 

元に戻る