懐かしの格好いいオープニング5(その3)

同名タイトルの第3弾です。「…(その1)」「…(その2)」に関心のある方はそちらもご覧になってみてください。

 

今回の一連の話を「そう、そう。」と言って読んでいただけるのは、おそらく60代または50代後半以上の方だと思います。それは筆者(60歳)が小学校に入る前の4~6歳くらいのものばかりだからです。では、それより若い世代の人には興味のないことかと言えばそうでもないでしょう。筆者としては、若い世代の人にこそぜひ知ってもらいたいと思っているものです。

 

昔の子供向け番組のテーマ曲が最近のアニメなどのそれと大きくちがうのは、昔のテーマ曲には歌詞に必ずその番組のタイトルかそれに近い表現が入っており、中には物語の設定や主人公の生い立ちの説明などがあったりしてわかりやすかったことです。最近のテーマ曲も確かに「格好いい」ですが、他の番組に使われても通用してしまいそうな歌詞のものが多い気がします。何年も経ってから聞いたときに、「あれ、何の曲だっけ…?」ということが起こりそうですが、昔のテーマ曲ではそういうことは起こりません。

 

さて、その最終回、つまりベスト1ですが、これはおそらく筆者と同世代の人の中ではおそらく最も多くの人が「ベスト1」だと言うのではないかと思うものです。日本のアニメ史に「金字塔」として輝き続けている作品です。未見の方はぜひご覧になってください。若い人もきっとオープニングの部分だけで感動すると思います。

 

【第1位】『ジャングル大帝』1965年10月~66年9月、全52話、放送日時不明 

もう文句なしの第1位です。未だにこれを越えるオープニングには出会っていません。何と言っても映像と音楽のシンクロ度がすごいです。冒頭の「ア~ア~、ア~ア~」という歌と共に舞い上がる鳥の群れ、途中の「バン、ババババン、ババババン、バババ、バババ、バババ」という歌詞のところで駆けるレオの足下、フルートらしき楽器の「ピロロロ~」という音とともに耳をピクピクさせるカバの親子や枝を巻きながら高速で走るリス…。日本のクラシック音楽の大家・富田勲が作曲した曲に合わせて後から作られた映像はもはや芸術品です。もちろん、本編のストーリーは手塚治虫の作品らしい、人間社会を反映した内容になっています。

 

当時、筆者は白黒テレビでこれを見ていましたが、本作は日本の国産アニメ・シリーズ初のカラー作品であったとされています。そのあまりにも美しい映像美に幼稚園生であったにもかかわらず感動した筆者は、どうしてもこの曲をもっと聴きたいと母親にねだって、同作品のLPレコードを買ってもらいました。当時はアニメの主題歌と言えばEP(シングル)レコードが定番でしたが、『ジャングル大帝』はミュージカル風に作られていて、タイトル曲以外にも劇中歌が何曲かあったので、それを集めたLPレコードが存在したのです。大人になるまで何度も何度も聴いたので、すべての曲を今でも歌詞を見ずに歌えます。そのレコードは筆者の宝物です(写真を載せようと思いましたが、自宅の屋根裏の奥に隠れていて出せませんでした…汗)。 

 

今回ご覧いただくのはテレビ放映版です。ただし、初期の頃は歌有りでしたが、途中で歌無し(ヴォカリーズ)バージョンとなり、再び歌有りバージョンに戻ったそうなので、初期のものか後期のものかはわかりません。筆者はどうやら歌無しバージョンから見始めたようで、レコードを聴いたら歌が入っていて驚いた記憶があります。また、画質がきれいなので、おそらくデジタル・リマスター版でしょう。とにかく、50年以上も前に作られたものだとは思えない映像美と音楽とのコラボを楽しんでください。

 

なお、オープニング(「ジャングル大帝のテーマ」)に出てくるライオンは「レオ」ではなく、父親の「パンジャ」です。この作品ではレオはまだ子供で、その後に入っているエンディング(「レオのうた」)に登場しています。大人になったレオは翌年に放映された続編「ジャングル大帝 進めレオ!」に登場します。ちなみに、プロ野球・西武ライオンズのマスコット・キャラクターである「レオ」も、パンジャを元に描かれたものだそうです。

<注>再生すると音が出ますので注意してください。