4th round

4th round とは、文字通りの意味は「4周目」のことを言います。ただ、日本語でもそうであるように、何か一連のものを繰り返し行う場合の「4回目」を指すこともあります。今回の話はその「4回目」の方です。ただ、その意味するところをお話しする前に再び「スター・トレック」ネタです。

 

これまで何度もこのコーナーでご紹介し、「よく耳にする表現」のコーナーでも台詞を取り上げることが多い同シリーズですが、ここで改めてそれを包括的にまとめておきたいと思います。

 

1. Star Trek(1966-1969)(略称:TOS、邦題『宇宙大作戦』。第3シーズンのみ『宇宙パトロール』

 3シーズン、計79話。初代のテレビ・シリーズ。23世紀が舞台。カーク船長、スポック、ドクター・マッコイが主な登場人物。後に7本(最後の1本は次のTNGとのコラボ)の映画まで作られた。

 

2. Star Trek: The Next Generation(1987-1994)(略称:TNG、邦題『新スター・トレック』

 7シーズン、計176話。上記TNG映画のヒットを受けて作られた新しいシリーズ。24世紀が舞台。ピカード艦長、ライカー副長以下、数名の乗組員が話の核となる。後に4本の映画が作られた。

 

3. Star Trek: Deep Space Nine(1993-1999)(略称:DS9、邦題『スター・トレック:ディープ・スペース・ナイン』

 7シーズン、計173話。TNGと同じ時代を描いたスピンオフ作品。シスコ大佐以下数名が主人公。宇宙船ではなく宇宙に浮かぶ基地が舞台。TNGとのクロスオーバー作品もある。

 

4. Star Trek: Voyager(1995-2001)(略称:VGR、邦題『スター・トレック:ヴォイジャー』

 7シーズン、計168話。TNGやDS9と同じ時代を描いた作品。シリーズ初の女性艦長ジェインウェイ以下数名が主人公。7万光年先の銀河系の果てから地球に帰還するドラマ。TNGの登場人物も出てくる。

 

5. Star Trek: Enterprise(2001-2005)(略称:ENT、邦題『スター・トレック:エンタープライズ』

 4シーズン、計97話。22世紀が舞台。アーチャー船長以下数名が主人公。宇宙艦隊ができあがるまでの話が中心。1~4の話に繋がるエピソードもけっこうある。特撮は映画並みのクオリティー。

 

6. Star Trek: Discovery(2017-)(略称:DSC、邦題『スター・トレック:ディスカバリー』

 現在3シーズン目を放映中(42話~)。TOSの約10年前が舞台。ディスカバリー号の副長マイケル・バーナム(女性)が主人公。TOSに繋がるエピソードが多い。

 

7. Star Trek: Picard(2020-)(略称:PCD、邦題『スター・トレック:ピカード』

 現在2シーズン目を放映中(10話~)。TNGの映画版最終作品の20年後が舞台。TNGの老齢になったピカード艦長が主人公。TNGやVGRの登場人物もゲスト出演する。

 

上記以外に Star Trek: The Animated Series(1973-74、略称:TAS、邦題『まんが宇宙大作戦』、2シーズン、計22話)というアニメもあります。また、Star Trek: Strange New Worlds(2022年公開?)というDSCのスピンオフ作品も企画が進行中です。

 

これだけの大ヒットSFドラマで世界中にファンが大勢いるのに、なぜか日本では『スター・ウォーズ』ほどのメジャーな存在になっていません。日本は先進国の中では同作品が最も人気のない国と思われます。おそらくそれは、日本でアメリカ製のテレビ・ドラマがほとんど見られなくなった1980年代後半以降に同シリーズの中で最も評価の高い『新スター・トレック』が本国で放映されていたからでしょう。その人気が日本にまで届いていれば、現在の状況は大きく変わっていたかもしれません。

 

さて、筆者はそれをレンタル・ビデオ店で借りてきたVHS作品『スター・トレック88』(第1シーズン、1~12巻)として初めて知りました。当初は「カーク船長が出ないスター・トレックなんか面白いのか?」という世界中のスター・トレック・ファン(これを「トレッキー」または「トレッカー」と呼びます)と同じ気持ちで見始めたのですが、数作品を見たところでその魅力にはまり、やがてDVDを全巻そろえて見るようになりました(ちなみに、上記の1~5、及びTASもDVDを全巻持っています)。

 

先日、そのTNGのDVDの4回目(4周目)の視聴を始めました。第1巻の第1話から壮大なドラマとして描かれていますが、登場人物の人物設定や役者の演技もまだ安定しておらず、後の作品を見慣れた目からすると物足りない部分もあるのですが、TOSから約20年振りにテレビ・ドラマが作られ、1960年代には望むべくもなかった特撮も真新しくなって見応えのある作品になっています。

 

『新スター・トレック』を見慣れると、同作品はSFという姿をまとった倫理番組だということがわかります。1作目も制作当時(1960年代)の社会問題であった人種差別や男女不平等などにいどんだ作品がありましたが(主な登場人物に黒人女性、東洋人、ロシア人がいたこと自体が画期的だった)、2作目である本シリーズは劇中のことばを借りると理想的な humanity(人間性)とは何かを追究する話が多くなっています。

 

このあたりの説教臭さ(?)が、時代劇には勧善懲悪を求め、外国映画にはスカッとするアクションを求める日本人にはうけない理由の1つかもしれません。しかし、そこにはト○ンプ大統領の時代には失われてしまったかのように見えるアメリカの正義感を読み取ることができ、異文化を理解するよい機会であり、自分の生き方を見直すよい機会でもあると思います。

 

以前にどこかで書いたかもしれませんが、『新スター・トレック』は他の「スター・トレック」作品と比べると登場人物の発音が聞き取りやすく、字幕を頼りにすればほぼ英語を理解することができます。そして、筆者のように何度も見るようになれば、字幕を消して英語の台詞のみに集中して見るということもできりるようになります。ぜひ見てみてください。(2/132021)

 

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