ませガキが選んだ60年代アメリカTV(その1)

以前に「懐かしの格好いいオープニング」と題して、3回にわたって筆者が就学前に見た子供向けテレビ番組の中で「格好いい」と思った5作品のオープニングをご紹介しました。そして、その記事を書いているうちに、新しい企画(シリーズ)を思いつきました。

 

それは、筆者が子供の頃(この場合は就学前)に見ていたアメリカのテレビドラマです。当時(1960年代)はアメリカのテレビドラマの全盛期で、あらゆる種類のドラマが輸入されて放送されていました。

 

筆者の家族は男の勢力が強く(4分の3)、父と7歳上の兄がアメリカのドラマが好きだったので、自然と筆者もそういう番組を見ていました。だからでしょうか、筆者は小さい頃から物の見方や考え方がませていたように思います。

 

そんな"ませガキ"の筆者が選んだ、思い出深いアメリカのテレビドラマのベスト5をご紹介します。若いみなさんにとってはタイトルさえ聞いたことがないだろうという作品から、50年以上経った今でもテーマ曲がバラエティ番組などで使われたり、映画やドラマとしてリメイクされ続けられている有名な作品まであります。今回から5回に分けて、第5位から第1位を紹介していきます。今回はその第1弾(第5位)です。

 

第5位『宇宙大作戦』(Star Trek1965-69

 

そうです!あの、『スタートレック』の初期作品です。後に6つの新シリーズ(うち2つは現在放映中)、2本のアニメ(うち1本は現在放映中)、13本の映画が製作され、世界中の人々に愛されている(なぜか日本ではそうでもない…)人気シリーズの第1弾です。最近では、その初期作品でカーク船長を演じたウィリアム・シャトナーが10月13日にアメリカの民間宇宙船で90歳という史上最高齢で宇宙に行ったということが多くのメディア(NHKニュースを含む)で話題になりました(一番下に10/16付け毎日新聞の「余録」を転載しました…10/17/2021追記)。

 

「あれ?確かこのコーナーのどこかで『一番好きなドラマ』とか言っていなかったか?なぜ第5位なんだ?」という突っ込みがありそうですが、筆者の子供の頃の印象としてはこのくらいなのです。このシリーズを大好きになったのは、1987年に始まった『新スタートレック』(Star Trek: The Next Generation)を見てからなのです。もちろん、その前に公開された初期作品の映画版4本(1979年、82年、84年、86年)は見ていて、改めて初期作品の良さも認識していましたが…。

 

初放映から55年以上経った今でも世界中に熱狂的なファンがいるこの初期作品も、放映当初はあまり人気がなく、3シーズンで打ち切られてしまいました。ただ、当初は1シーズンで打ち切られそうになったところを、一部の熱狂的なファンからの投書のおかげで、もう2シーズン生き延びたというエピソードもあります。

 

そのような作品だつたからか、日本での扱いもあまり良くありませんでした。まず邦題がいただけません。確かに見かけはアクション・ドラマのようなのですが、その実はSFドラマの衣を被った倫理ドラマなのに、タイトルからはそれを微塵も感じられません。せめて、"Trek"(苦労して踏破すること) をもう少し上手く訳してくれれば、オリジナル・タイトルのイメージを表せたかもしれませんが…。

 

さて、件のドラマですが、主役級の3人の登場人物(カーク船長、スポック、ドクター・マッコイ)と脇役級の登場人物(ウラ少尉、ミスター加藤、チャーリー)のことと宇宙船エンタープライズ号の姿は記憶にあるのですが、ストーリーは怪獣ゴーンの話(第19話「怪獣ゴーンとの戦い」、原題:Arena)くらいしか当時は覚えていませんでした。また、オープニングは日本での初回放送時のみかなり独特のものがあったそうですが(関連本を読んで知りました)、そちらはまったく記憶にないので、再放送を何度か見ているうちにそちらのバージョン(英語のナレーションが日本語になっただけ)の記憶が上書きされてしまったのかもしれません。

 

なお、日本での初回放送時は第1シーズンのみ日本テレビ系で放送され、第2、第3シーズンはフジテレビ系で放送されました。その変更に伴って第2シーズン以降はタイトルも『宇宙パトロール』に変更され、1時間のドラマが30分ずつの2回に分けられてしまうという扱いを受けました。

 

今回ご紹介するのは、YouTubeで見ることができる日本での初回放送時のオープニング(第1シーズン)、日本の再放送以降のオープニング(第1~第3シーズン)、アメリカのオリジナル版のオープニング(第3シーズン)です。(10/16/2021)

 

<日本の初回放送版オープニング(第1シーズン)>

 

<日本の再放送以降のオープニング(第1~第3シーズン)>

 

<オリジナル版(第3シーズン)>

 

◇10/17/2021追記

10/16付け毎日新聞朝刊の第一面にある「余録」に以下の記事がありましたので転載します(実際の記事では段落の切れ目に「▲」が入れられてベタ書きされています)。

 

「『スター・トレック』は私が宇宙の活動に参加する権利があると確信させてくれた」。1992年に黒人女性初の宇宙飛行士となったメイ・ジェミソンさんは、未来の宇宙を舞台に66年に始まった米国の人気テレビドラマシリーズとの縁を語ってきた

 

宇宙船「エンタープライズ」号ではウィリアム・シャトナーさんが演じるカーク船長の指揮下、日系2世のジョージ・タケイさんが操縦士、黒人女性のニシェル・ニコルズさんが通信士と重要な役どころを演じた。主要キャストが白人中心だった当時では異例の起用だった

 

作者は未来の宇宙に、あるべき米国の姿を託したといわれる。テレビの中で活躍する仲間の姿に勇気づけられた少年少女も少なくなかったらしい。ジェミソンさんもその一人だったわけだ

 

「スター・トレック」はその後も続編や映画が作られ、世界的な人気を誇る。多様な人々が力を合わせて宇宙での難局に立ち向かう設定が国境を超えて支持されているのだろう。車椅子の物理学者として知られたホーキング博士も続編に本人役で出演している

 

民間宇宙飛行に乗り出した億万長者のジェフ・ベゾス氏の招待で、90歳の「カーク船長」が現実の世界では初めての宇宙旅行を体験した。シャトナーさんは高度100㌔超の宇宙に到達して地球を眺め、宇宙滞在の最高齢記録を塗り替えた

 

勇気づけられた人もいるだろう。「エンタープライズ」号に高齢者が加わり、宇宙での多様性をさらい広げることも可能な時代か。

 

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