後置修飾の理解が英語学習の最大のポイント(その2)

「~(その1)」では前置詞による後置修飾について学びました。中学校の授業で次に出てくる後置修飾は不定詞(の形容詞用法)によるものと分詞(現在分詞、過去分詞)によるものです。前置詞の後置修飾が頭に入って慣れていればそれほど理解は難しくありませんが、もし難しいと感じたら「~(その1)」の内容を復習してからこちらに戻って来てください。

 

2. その他の後置修飾

 

(1) 不定詞の形容詞用法によるもの(2年生が多いが3年生の教科書もある)

まずは例文を見てみましょう。赤い部分が修飾部でその直前の名詞が被修飾語です。

 

① I have a lot of homework to do.(やるべき宿題)

② I want someone to talk with.(一緒に話すための誰か)

 

①の文では to do が (a lot of) homework を、②の文では to talk with が someone を修飾している後置修飾です。日本語にしにくいことからも少しややこしいことがわかると思います。不定詞には他に名詞的用法(「~すること」)と副詞的用法(「~するために」)がありますが、これらはその部分だけが独立した句になっているので、それほど理解は難しくはありません。ここで取り上げた形容詞的用法は直前にある名詞(被修飾語)と一緒に考えないと意味がつかめないので、他の2つより理解が難しくなります。教科書によっては3年生で出てくるのもそのためです。

 

日本語の意味では「~するための」とか「~すべき」があてられます。どちらにしたらいいかは文全体の意味で判断します(上記の2つの例文もそうしました)。ただ、日本語の意味にあてはめて理解しているうちはなかなか英語をマスターできません。よりしっかり理解してもらうには、英語を話す人が英語を話していく順番、つまり登場する語順どおりに意味を理解していく必要があります。

 

例えば、①の文ではまず「私は→持っている→たくさんの→家庭学習」と頭の中が流れていきます。つまり…

 

I...

I have...

I have a...

I have a lot...

I have a lot of...

I have a lot of homework

 

のように意味も追っていきます。

 

ここまででこの英文自体は完成することができますが、さらに  to do とすることでその直前の宿題(家庭学習)がどんなものかという意味を添えます。つまり、「やるべき」ということです。

 

一方、②はまず「私は→ほしい→だれか」と頭の中が流れます。そしてこの「誰か」というのがどういう人かはっきりしないので、to talk with、つまり「一緒に話すための」という修飾部が付くわけです。

 

いずれの文も基本的には一度英文が完成しているのですが、言った後にその内容を補足することを思いついて(あるいは元々そのつもりで)、後から説明することば(修飾語句)を付け加えています。英語を話す人の発想はこのように流れるのだということをしっかり理解した上で使えるようになりたいですね。 

 

(2) 分詞によるもの(3年生が多い)

こちらもまずは例文を見てみましょう。

 

① Look at the girl reading a book over there.

② This is a car made in Japan.

 

①の文では reading a book over there(あそこで本を読んでいる) が (the) girl を、②の文では made in Japan(日本で作られた) が (a) car を修飾しています。上の文は「~している」という意味の ing形(これを「現在分詞」と呼びます)が使われ、下の文は「~された」という意味の過去分詞が使われています。これらも気をつけないと、*reading a book girl(よりひどいのは *a book reading girl) とか *made in Japan car(よりひどいのは *a Japan in made car) などとしてしまいます。

 

上記2つの文も(1)の2つの文と同じ発想で英語が流れ行く中で後から修飾語句が加わります。すなわち、①は「見なさい→~を→その→女の子」と言ってから「女の子」を説明する表現(reading a book over there)を加え、②は「これは→~です→ある1つの→車」と言った後で「車」を説明する表現(made in Japan)を加えているわけです。

 

ところで、ここでは修飾語句として使われている現在分詞と過去分詞を同時に扱っています。それは両者を上手に使い分けられるようになってほしいからです。どういう時に現在分詞で、どういう時に過去分詞を使うかということは理解できているでしょうか。ここで改めて確認しておきましょう。

 

どちらを使うかというのは、被修飾語と修飾語句がどういう関係であるかで決まります。つまり…

・被修飾語が修飾語句の「動作主」である:「~している」→現在分詞

・被修飾語が修飾語句の「動作主」でない:「~されている」→過去分詞

①の文は the girl は本を読む(reading)の動作主です。したがって、reading と現在分詞になります。②の文は a car と日本で作る(make in Japan)の動作主ではありません(誰かが作っている)。したがって、made と過去分詞にします。自分で言ったり書いたりする場合はこのあたりの判断を瞬時にしなければならないので、注意してください。

 

なお、上記2つの例文は次回扱う「節によるもの」の省略された形だという見方もできます。つまり、

①' Look at the girl (who is) reading a book over there.

②' This is a car (which was) made in Japan.

の( )の部分の省略形だということです。ただ、( )の部分のある・なしで微妙に伝えたい内容がちがう場合もあるので、ここでは別物であるということで話を進めました。 

 

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