You're gonna make it.「あなたはそれを作るだろう」?

この台詞は、ドラマや映画の中で、特に戦争物や刑事物の爆撃や銃撃シーンの後によく聞かれるものです。いったいどういう意味で使われるのでしょう。タイトルのように中1レベルの解釈で直訳したのではまったくわかりません。

 

では、どのような時に用いられるのかというところから意味を想像してみましょう。ここで注目したいのは、"make it" という部分です。さらにこの "it" というのが何を指すのかが重要です。

 

冒頭でも触れた戦争映画や刑事物ドラマのシーンがわかりやすいでしょう。

 

<シーン①>

(爆撃によって瀕死の重傷をおった仲間の兵士をだきかかえて)

A: Hang on!  You're gonna make it!

 

<シーン②>

(銃撃戦で重傷を負った仲間の刑事のことを話している)

A: I heard John was hit.  How is he?

B: Sorry, he didn't make it.

 

さて、<シーン①>では、瀕死の重傷をおった仲間に対して Hang on!(がんばれ!)と言った後に「あなたは~するだろう」と言っています。つまり、「大丈夫だ。お前は死なないぞ」と相手を勇気づけているシーンです。

 

一方、<シーン②>では、銃撃で負傷した仲間の John を心配するAに対してBが Sorry,(残念だが…)と言ったあとに「彼は~しなかった」と言っています。つまり、「彼は死んでしまった」と言っているシーンです。

 

この2つのシーンから、make it とは「(大変な状態から)回復する」というような意味であることがわかります。そうすると、この it は「命」とか「生きている状態」のようなことを表すと推測できます。また、辞書で調べてみると、make it は「やりとげる」とか「成功する」という意味であると書かれています。そうすると、it は「目標とすること」のような意味になるでしょうか。上の2つのシーンで言えば、それは「生きること」であると言えるでしょう。

 

以上のことから、You're gonna make it. 単体ではうまく適切な日本語にすることはできません。状況があって初めて本当に伝えようとしている意味が見えてきます。ちなみに、件のシーン①では「お前は大丈夫だ」とか「お前はきっと治る」のような意味、シーン②では「彼は治らなかった(死んだ)」という意味で使われていると解釈できます。

 

なお、"gonna" は "going to" のことで、"want to" を "wanna" と言うのと同じです。会話ではよく聞かれる表現です。この台詞を言う場面で going to などと丁寧に言う人は見たことがありませんので、あえてこちらを使ってみました。

 

日常生活ではあまり使わない表現ですが、映画やドラマでは頻繁に聞かれる表現なので、ぜひ自分でも使えるレベルになるくらいに身に付けておきたいですね。

 

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