夏の使者(その1)

「春の使者」はこれまで何度か書いたことがありますが、夏の使者については初めてですね。「えっ? そんなことはないでしょ。夏になれば毎年セミの話が出てくるよ」ですか。いや、まったくそのとおりです(汗)。そうは言っても、夏の訪れを感じさせる動物として、今年は今までになかったことに気づいたので、その報告です。

 

実は、先日4時半頃に目を覚ますと、自宅近くのどこかで「カッコー、カッコー」という声が聞こえてきました。筆者の住んでいるところは郊外の住宅地なのですが、無秩序に(?)開発されたところなので、周囲にあまり自然が残っておらず、学校のある都内の方がよほど野生動物に出会うことが多いような場所なのです。ところが、そんな場所でカッコーの鳴き声を聞いたので、びっくりしたというわけです。

 

本当のところはわかりませんが、筆者にとってカッコーはやや標高の高い山地や高原で夏に鳴いているのを聞くものだという印象があります。それが海抜数十メートルの平地の住宅街で聞こえたのですから、筆者にとっては“事件”です。筆者が生まれ育った町は現在の場所より1つ東京寄りの市街地なのですが、子供の頃から地宅近くでカッコーが鳴いていたという記憶がありません。そんなカッコーが住宅地で鳴いているというのは、残された雑木林がどんどん開発されてなくなってきてしまったからなのかなとも心配しています。

 

筆者の地元には「オオタカの森」という場所があり(実は以前に娘や息子を連れてカブトムシ獲りをしていた森なのです)、その森を二分してしまうことになるバイパス道が環境保護団体の反対でなかなか工事が進まなかったということがありました。しかし、結局は10年ほど前にその道路も完成し、筆者が毎年カブトムシを獲っていた“秘密の木”もなくなってしまいました。もちろん、そのバイパス道のお陰でいろいろなところに出かけるのが便利になりましたが、そこを通る度に少しだけ申し訳ない気持ちを毎回感じています。

 

夏の使者は夏の訪れを感じさせてくれますが、同時に筆者にとっては便利さと引き換えに自然が破壊されていくという複雑な気持ちを呼び起こすものでもあります。(6/26/2021)

 

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