Give me a break.「私に休憩をください」?

もう30年近く前になるでしょうか。TBS系の夜9時からの番組で「ギミア・ぶれいく」という番組がありました。これはタイトルの Give me a break. を少し崩した形で言う Gimme a break. を日本語表記したものです。

 

直訳するとタイトルの「 」内のような意味になります。これでも本当の意味を知っている人なら、それと関連づけることができるでしょうが、本当の意味を知らない人にはそれも難しいかもしれませんね。

 

この表現は映画やドラマを見ていると頻繁に聞くことができます。しかも、どんなジャンルの映画やドラマでも聞くことができます。特に、登場人物の中に相手をイライラさせる人がいたり、それに対してはっきり物を言う人がいたりする場合は、ほぼ確実に聞かれるせりふです。

 

では、「本当の意味」とは何かと言うと、「いいかげんにしてくれよ!」ということになります。つまり、相手の言動にうんざりしたときに発せられるものです。「私に休憩をくれ」ということですから、たたみかけるようにいろいろ言われることにうんざりして、「少しは黙って、私に休みをくれ」ということから、この表現が定着したと思われます。

 

上記のような場面とは少しちがいますが、このせりふが聞かれる場面として筆者が真っ先に思い浮かべるのが、映画『E.T.』(E.T. The Extra-Terrestrial, 1982)のある場面です。主人公のエリオット(ヘンリー・トーマス)がE.T.を見て驚いている妹のガーティー(ドリュー・バリモア)にあることを言い、幼いガーティーがそれに対してエリオットに言い返す場面です。

 

Elliott: But, look, you can't tell.  Not even Mom. 

Gertie: Why not?

Elliott: Because, uh,  grown-ups can't see him.  Only little kids can see him.

Gertie: Give me a break!

 

これはエリオットがETのことを母親に秘密にするため、幼いガーティーを丸め込もうとして、「大人には見えないんだよ。小さな子供だけに見えるんだ」と説明したところ、ガーティーは「(私をチビだと思って)馬鹿にしないでよ!」という意味で言い返しているのです。この台詞が印象に残ったのは、幼稚園児であるガーティーがとてもおませな女の子であったことに驚いたことで、アメリカでは小さな女の子でも大人扱いしないと怖いのだと思ったからでした。翌年アメリカへ留学することになっていた自分にとっては、特に印象に残った場面だったのです。

 

少し強い自分の感情を表現するので、この表現を使うには相手との人間関係がある程度できてからの方が良さそうですが、使っても良さそうな相手がいたら使ってみると面白いでしょう。

 

ところで、本題とは異なりますが、件の『E.T.』の“続編”があるのをみなさんはご存じですか? いや、正確に言うと、正式な続編ではなく、ある会社がイメージビデオとして、オリジナル映画の37年後という設定で2019年に製作したショート・ムービーです。主役のヘンリー・トーマスが2児の父親となったエリオット役で再登場しています。37年振りに地球にやってきたE.T.との心温まる交流に胸が熱くなります。オリジナル作品を見たときに感動して涙を流した方は必見です。下記のYouTubeで見ることができます。

 

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