What the hell?「その地獄は何?」?

今回の表現は「あまり好ましい表現ではない」とされているもので、それ故教科書ではまず見かけません。しかし、映画やドラマでは頻繁に耳にする表現なので、あえて取り上げたいと思います。

 

この表現は、基本的に疑問文の意味を相手に強く伝えるためのものです。「地獄」を意味する hell という単語が使われていますが、地獄とは直接関係ありません。

 

例えば、What are you doing here? に対して ② What the hell are you doing here? と言った場合はどんなちがいがあるでしょうか。

 

両者を訳してみると、①は「あなたはここで何しているのか?」、②は「あなたはいったいぜんたい何をしているのか?」のような感じです。つまり、What the hell...? とすることで、「いったいぜんたい(一体全体)何を…?」と質問の意味を強めることができるというわけです。また、これを What the hell...! と感嘆符で終えれば「いったいぜんたい何が~なんだ!」のような驚きを表す感嘆文になります。

 

実は、この表現は What the hell? や What the hell! と単品で使われることも多く、映画やドラマでも頻繁に耳にします。その場合、後ろに続くはずの疑問文や感嘆文は状況から判断されるものということになります。タイトルにこの表現を採用したのもそのためです。

 

ついでに言うと、これをもう少し汚い表現で言った、What the f〇〇〇?/! (いわゆる「4文字ことば」)もよく使われています。青春映画、アクション映画、戦争映画などでよく耳にします。

 

筆者が初めてこの汚い方を耳にしたのたのは、アメリカ留学中(1983-84)に見たトム・クルーズ主演の『卒業白書』(Risky Bussiness)でした。高校生役のトムの友達の一人がやたらと What the f〇〇〇! と繰り返していました。留学中に見た初めての映画であり、字幕なしに見ていたので、きっと強く印象に残ったのでしょう。その後はあちこちの映画で「また言っている…」と気づくようになりました。

 

初学者のみなさんが使う表現としてはあまり好ましくありませんが、映画やドラマで頻繁に耳にする表現ですから、発言者の意図を正確に理解するものとして覚えておいてもいいでしょう。

 

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