You bet.「あなたは賭ける」?

今回の表現は、筆者が1983年~84年にアメリカの大学に留学していたときに、最初に「?」と感じた表現です。「?」と感じたということは、それまでの英語学習では耳にしたことがなくて、「何だろう?」と思ったということです。

 

最初に耳にしたのは、確か滞在3日目に下宿先の人に迎えにきてもらった時だったと思います。わざわざ泊まっているホテルまで車で迎えに来てくれたので、次のような話をしました。

 

Nory: Thank you for coming.

Marilyn: You bet.  ※Marilyn は部屋を貸してくれる人

 

その時は相手が何を言っているのかよくわからなかったのですが、数日後に Marilyn が彼女の親戚に私を紹介するためのパーティーを開いてくれた時にも、私の "Thank you." に対して、ほとんど全員が "You bet." と言っていました。 

 

以上のことから、You bet. は Thank you. に対する答え、すなわち You are welcome. にあたる表現であることが感覚的にわかりました。

 

また、次のような場面でも使われていました。

 

Nory: Would you like to eat this?

Marilyn: You bet.

 

そして、その時の表情と声色は「もちろんです。」と言っているようでした。つまり、You bet. には Sure. や Absolutely yes. のような使い方もあるのだということがわかりました。

 

そこで、この表現がどうしてそのような場面で使われるのか調べてみたところ、次のようなことがわかりました。 

 

You bet. とは、You bet your 〜. あるいは You can bet your 〜. のことで、すなわち「あなたはあなたの〜を賭けることができる。」、つまり「大切なものを賭けられるくらい確かなことである。」ということから来ているようです。それが、相手の言ったことに肯定的に応じる内容として使われるというわけです。ちなみに、「〜」の部分には、boots, trousers, life などが入るようで、やや汚い言い方では ass などが入るものも映画などの台詞でよく耳にします。

 

さて、せっかく知った新しい表現なので、早速使いたかったのですが、いざ使おうとするとなんだか気恥ずかしくて、しばらくは使えませんでした。しかし、ある時勇気を出して使ってみたところ、相手にすんなりと受け入れてもらえました。それからは、「どういたしまして。」や「もちろんです。」という場面でこの表現を多用したことは言うまでもありません。

 

みなさんも、ネイティブと話す時はこの表現を使ってみませんか? You are welcome. や Yes. を使っていた時よりも少し格好良く話しているように感じると思います。なお、筆者がアメリカに留学していた1983年当時は、この表現を使う地域が限られていたように感じました。筆者が住んでいた中西部(mid-west)では多用されていましたが、東海岸地域(east coast)ではあまり聞かれませんでした。西海岸地域(west coast)のことはわかりません。もっとも、あれから35年以上も経っていますから、事情は変わっているかもしれません。

 

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