You're gonna love it.「あなたはそれを愛するだろう」?

まず最初に、中学生によく尋ねられる「先生、gonna って何ですか?」という質問に答えると、それは going to の省略形と言ったらいいでしょうか。ただし、I am を I'm と省略するのとは少しちがって、きちんとした英語を話そうとするネイティブはあまり使わない表現です。日本語で言うと、「~ではありません」というところを「~じゃありません」というのと同じようなものだと言ったら理解していただけるでしょうか。

 

前置きが長くなりましたが、つまりこの表現は以下の表現の変形ということになります。

 

・You are going to love it.

 

これなら、中学校2年生以上の人なら意味がわかりますね。そうです。「あなたはそれを愛するでしょう」という意味です。未来を表す be going to が使われているところが大きな特徴です。

 

ただ、「あなたはそれを愛するでしょう」と訳してしまったら、この表現の持つ本当の意味を理解できたことにはなりません。それは、この表現がアクション映画やサスペンス映画などでよく使われるからです。しかも、多くの場合で goona が使われ、going to とはっきり使われることはあまりありません。

 

どんな場面で使われるかと言うと、大きく2つの場面が考えられます。1つは、相手に何かを提案したり勧めたりした後に、その内容の良さを素直に伝えたいときです。そしてもう1つは、そのストレートな気持ちを逆手に取って、相手がそれによって苦しんだり困ったりする状況になることを皮肉を込めて伝えたいときです。筆者の感触では、後者の使い方の方が多いように思います。では、なぜそういう使われ方をするのかを見ていきましょう。

 

まず、love は日本語では「愛する」と訳されますが、それだと男女関係や親子関係などに使われる語だと思われてしまいます。ところが、実際にはより広い意味で「大好きである」、つまり like very much ということを表します。そうすると、全体では「あなたはそれを大好きになるでしょう」という意味になりますね。

 

以上のことから、この表現を素直に使うときとは、あなたが何かを相手に提案したり勧めたりしたあとに、You're going to love it.と言えば、「きっと気に入ってもらえると思います」というような気持ちを伝えることができます。一方、これを相手を困らせるような場面で使えば、「お前はきっとこれが気に入るぜ」が「お前はこれから大変な思いをするぜ」というような意味になるのです。このような場面で going to が gonna になるのは、たいていはこの台詞を言う人が少し汚いことばでつぶやくように言うからです。ここを going to などとはっきり言ってしまっては、その場面の雰囲気をぶち壊してしまいます(笑)。

 

いかがでしたでしょうか。少々意地悪な表現ではあるのですが、映画やドラマを見ているとしばしば出てくる表現なので、ぜひこの表現の意味するところを理解した上でその台詞を味わってください。

 

他にも、相手に言うのではなく、第三者が困った状況に陥りそうなときに He's gonna love it. などと言うこともあります。もちろん、この表現も本当にその人がそれを楽しみにしているということを言いたいときに使うのであれば、素直に「彼はそれを喜ぶだろう」という意味で使えます。さらに、相手が自分に何かを贈ってくれることを知って、「きっとそれを気に入るだろう」と言いたいときに、I'm gonna love it. と言ってもいいでしょう。

 

元に戻る