other と another の使い分け

【質問】

other も another も「他の」とか「別の」という意味ですが、どのように使い分けたらいいのですか?

 

【回答】

この質問もこれらの単語を導入するときにこちらから説明をしなかった場合に必ず受ける質問です。教科書の巻末にある新語リストには最低限の意味しか載っていないためと思われます。この2つの語の使い分けはそれほど難しくありませんが、その後に出てくるいろいろな関連表現になると少し難しいので、今回はそこまで解説しましょう。

 

(1) 形容詞として使われる場合

まず、この2語が形容詞、つまり「他の」という意味で使われている例を見てみましょう。その場合のこの2語の区別は、another を an + other だとすれば簡単だと思います。そうですね。同じ「他の」でも another の方は不特定の「1つ」ものを指しています。つまり、他に複数あるものの中の1つを指す場合に使います。一方、other は他に複数あるものの中の複数を指す場合に用いられます。

<例>

This is a nice dress, but can you show me another one?

This is a nice dress, but can you show me other ones?

 

上記の場合、上段の文の後半は「他の服を1着見せてほしい」という意味で、下段の文の後半は「他の服を複数見せてほしい」という意味で使われています。また、the other one  と言う場合は2つ候補を見せられたうちのもう一方を、the other ones と言う場合は残りの全てを指しています。ちなみに、one(s) は dress(es) のことですね。other と another の単純な比較は以上です。

 

(2) 代名詞として使われる場合

次に、この2語が代名詞、つまり「他のもの」という意味で使われている例を見ています。この場合、登場する可能性があるのは another, others, the other, the others の4つです。なお、other の単数形を単品で代名詞として使うことはありません。説明をわかりやすくするために、選択肢の採り方をいくつかに分けて見てみましょう。

 

① 選択肢が2つあって1つずつ取る場合

選択肢がAとBの2つである場合を想定します。この場合、最初に取るものをAとし、残ったものをBとすると、次のように言います。

 

A… one  B… the other

 

・I'll take one of them.   You'll take the other.

 「私が1つもらうから、あなたはもう一方(残りの方)ね。」

 

この場合、誰かが一方を取ると、残りの1つは誰から見ても同じものになりますね。ですから、残りの方は誰が見ても同じもの(話者の間では共通理解が得られている)なので、the がつきます。しかも不特定の1つではありませんから an はつきません。したがって、the other となるわけです。 

 

② 選択肢が3つあって1つずつ取る場合

選択肢がA,B,Cの3つである場合を想定します。取る順番をA,B,Cであるとしてみましょう。この場合、次のように言います。

 

A… one  B… another  C… the other

 

・A-san will take one of them.  B-san will take another.  C-san will take the other.

 「Aさんが1つ取ります。Bさんは残りのうちの1つを取ります。Cさんはその残りです。」

 

この場合、Aさんが1つ取ると2つ残ります。Bさんはそのうちのどちらかを取りますが、それは決まっていません。したがって、Bさんが取るのは不定冠詞 an のついた another です。AさんとBさんが取ってしまえば、残り1つは誰の目にも同じものになります。したがって、Cさんが取るものは the other となります。

 

③ 選択肢がいっぱいあって複数取ることもある場合

選択肢がたくさんあることを想定します。しかも、人によって取る数もちがうとしてみます。例えば、Aは1つ、Bも1つ、Cは適当にいくつか、Dは残り全部としてみます。この場合、次のように言います。

 

A… one  B… another  C… others  D… the others

 

・A-san will take one of them.  B-san will take another.  C-san will take some others.  D-san will take the others.

 

この場合、AさんとBさんの取り方は②と同じですが、Cさんは残りの中から適当に(不定の)いくつかを取ります。このような場合は others という複数形を用います。どれを取るかはわからないので定冠詞 the はつきません。最後にDさんは残ったものをすべて取ります。Cさんが取った時点で残ったものは誰の目にも同じものなので、複数を表す語に定冠詞をつけて the others とします。

 

other と another の使い分けはわかったでしょうか? 上記の説明をぜひ図解してみてください(本HPではできないため)。そうするとさらにわかりやすくなると思います。

 

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