「子音字+e で終わっている動詞の場合は e を取って ing でしょ。」「常識だから、そんなこと考えたこともないですよ。」という人向けの説明です。この問いが「つづりと発音に関すること」の中にあるので、答えは発音とつづりの関係で説明できます。
答えに迫る第一ヒントは、「そのまま ing をつける、つまり makeing ではなぜだめなのか?」ということになります。そこで、そこから始めます。
make + ing = *makeing
一見すると、別にこれでも良さそうです。なぜなら、見た目に make の後ろに ing がついていることがわかるからです。しかし、左辺の足し算が無くて、いきなり右辺だけを見たら、どうでしょうか?
ここで問題になるが makeing の太字部分です。ei とつづると、どういう発音になるでしょうか。ei とつづる単語で見てみましょう。
either, receive
そうです。ei のところは「イー」と発音されます。イギリス人なら、either は「アイザー」ですね。
そうすると、makeing は「メイキーイング」あるいは「メイカイング」と読むことになります。すると、原形の make の ing形として発音したい「メイキング」とは読めないことになるのです。
そこで、元々発音していなかった e(サイレントe)を取ってしまって、ing をつけるというつづりが採用されたというわけです。
どうだったでしょうか?簡単なことなのに、改めて説明を求められると、よくわかっていなかったということが解決したでしょうか?実は、この make が making になる理由というのは、次に紹介する予定の「6. sitのing形はなぜsittingなのか?」にも関係してきます。そちらもぜひお読みください。(11/11/2018)
「子音字+eで終わっている動詞は、e を取って ing をつける」ということを説明して生徒にわからせるのが教師の役目だと思って授業をしている先生は、少し立ち止まって考えてみてください。なぜなら、そんな教科書や参考書に書かれていることは読めばわかることですし、塾で予習している生徒もいっぱいいるからです。授業で大切なことは、生徒が疑問に思ったり、見逃したりしていることがあったら、それを生徒と一緒に考えて、彼らの思考を整理してあげることです。今回の問いは、そのような授業をする上での好材料と言えます。
ただ、発音とつづりの関係の基本を事前に教えていない状況で今回の話を持ち出しても、生徒に理解させるのは難しいかもしれません。また、結局は教師が一方的に説明するだけになってしまい、生徒から期待するような反応を引き出して話を進めることはできないでしょう。ですから、発音とつづりの関係と一から丁寧に指導していくことが大切になってきます。
なお、上記の説明の最後にある「6. sitのing形はなぜsittingなのか?」も、発音とつづりの関係で説明できることです。今回の問いに続いて指導すると効果的ですので、ぜひご活用ください。