afraid と scared のちがい

【質問】

afraid も scared も「怖い」とか「恐れている」という意味ですが、ちがいはあるんですか? もしあるとしたら、どうちがうんですか?

 

【回答】

この2つの形容詞の意味のちがいに関する質問もよく受けます。どちらか一方を先に習っていてもう一方が出てきたときや、両方が一度に出てきたときなどに生徒から質問されます。もちろん、異なった表現は基本的に異なった意味やニュアンスで使われるということから、過去の多くの場合と同様にこれら2つも異なった意味で使われます。しかし、日本語訳だけを見るとちがいがわからないので、そのちがいがわからずにまちがって使ってしまうことも多いようです。例えば、以下のように使ってしまう場合がそうです。

 

① 私はミスをするのが怖かった。

 → I am scared of making mistakes.

② 私はその事故が怖かった。

 → I was afraid of the accident. 

 

もっとも、上記①、②の文も、表したい内容が日本語と少しちがっているのなら英文としてはまちがった文ではありません。ただ、本来ここで伝えたい意味(日本語の意味)を正しく伝えるには以下のようにそれぞれの scared と afraid を入れ替えた方がいいです。

 

① I am afraid of making mistakes.

② I was scared of the accident.

 

では、どうして①と②でこの2つの形容詞を交換した方がいいのでしょうか。

 

1. afraid と scared が表す意味のちがい

まず、afraid自分の心の中にある何かを恐れる気持ちを表す語です。したがって、これから起こる出来事に対して恐れる気持ちを表すときによく使われます。

 

ア)I'm afraid of swimming in the sea.(海で泳ぐのが怖い)

イ)I'm afraid to break the ice.(氷を割りそうで怖い)

ウ)I'm afraid that there will be a big earthquake.(大きな地震が来そうなのが怖い)

 

なお、上記の例文でもわかるように、afraid の後ろは主に<of +名詞(句)>、<to 不定詞>、<that 節>の3つの表現があります。もちろん、文脈から何を恐れているのかがわかれば、I'm not afraid. のように恐れている対象を言わない場合もあります。

 

以上のことから、①は「(これから)ミスをしそうなことを恐れている(心配している)」という自分の内なる気持ちを表しているので、afraid を用いる方がいいということになります。

 

一方、scared外部の何かや状況に対して瞬間的に恐れる気持ちを表す語です。scared の元の語である scare が「恐れさせる」という意味の動詞であることからもそれがわかります。したがって、実際に経験した内容を表すときによく使われます。

 

ア)I was scared of the dog. (その犬が怖かった)

イ)I was scared to cross the bridge. (その橋を渡るのが恐ろしかった→渡らなかった)

ウ)I was scared that we would run out of gas. (ガス欠になりそうで怖かった)

 

なお、上記の例文でもわかるとおり、scared も afraid と同じように後ろに3つの表現をとることができます。また、必ずしも過去の文であるというわけではなく、お化け屋敷などで Are you scared? (怖いの?)と仲間に言ったりしますから、現在の状況を表す場面でも使われます。また、恐れている対象がわかっている場合はそれを省略して言うのも afraid の場合と同じです。

 

以上ことから、②は「(実際にあった/目にした)その事故が恐ろしかった」という外部からの刺激に対して恐怖を感じたという事実を表しているので、scared を用いる方がいいのです。

 

2. afraid と scared のちがいを理解し、使い分けるコツ

上記の例文を書いているうちに気づいたことですが、afraid と scared のちがいを明確に説明できる例文を探して示すことができたと思う一方で、直後の表現が同じ形の例文を出したことで、両者のちがいが少しわかりにくくなってしまったかなとも感じています。もちろん、それはこれからお話しすることの前振りでもあったからなのですが…。

 

それぞれの同じ番号の例文で afraid と scared の後ろに使われている表現(ア)of ~、イ)to 不定詞、ウ)that 節)を再度見てもらうと、何が言いたいかわかると思います。つまり、

 

・ア)は「~」または「~すること」が怖い

・イ)は「~してしまいそうなこと」が怖い

・ウ)は「…が~すること」が怖い

 

ということを表しているので、「afraid と scared のちがいがわかったようで、結局なんだかよくわからない」という感想を持った人もいるでしょう。

 

そのようなときは、もう一度上記の青字で示したそれぞれの語の持つ意味を思い出してください。そうすれば、仮に形や内容が似ているような文同士であっても、どちらの語を使っているかで表そうとする内容がちがうことがわかると思います。

 

そうです。もう一度確認します。

 

afraid は自分の心の中にある何かを恐れる気持ちを表す

scared 外部の何かや状況に対して瞬間的に恐れる気持ちを表す

 

です。したがって、自分で何かが怖いということを表すときもその恐怖がどこから来ているかを判断してこの2つの語を使い分けてください。

 

3. 教科書本文に見る afraid と scared の使い分け 

今回の記事を書くきっかけとなったのは、筆者の学校で使っている教科書 One World(教育出版)の2年生の Lesson 2 Part 1 に次のような表現があったからです。

 

   We had a power outage at our house this evening.  It happened around seven thirty.  Mom and I were in the kitchen.  We were making a cherry pie.

   Dad was fixing his computer then.  He ran into the kitchen.  He looked scared.

   Jane was studying in her room.  She came to the kitchen with a flashlight and said, "Are you OK, Dad?"  She wasn't afraid at all.  Two hours later, the lights in the house came back on.

 

さて、scared が使われている文を見ると、He looked scared. つまり、「彼(=父)は怖がっているように見えました。」ということで、突然の停電によってあわてている父親の状況がよく表されています。ところが、同じ状況の中で afraid が She wasn't afraid at all.つまり、「彼女(=ジェーン)はまったく怖がっていませんでした。」というように使われていたので、生徒から「どうちがうんですか?」という質問が出てきたわけです。

 

もちろん、教科書がまちがっているわけではないので、使い分けている理由があると考えられます。そして、そこには afraid と scared の意味のちがいを示そうという執筆者側の意図を感じます。つまり、件の文に scared ではなく afraid が使われているということは、この文が「彼女は(停電に)恐怖を感じていなかった」ということを言っているのではなく、「(懐中電灯を持っているので)彼女はまったく心配していなかった」ということを表しているのです。

  

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