Watch out!「外を見なさい!」?

タイトルの表現は、動詞の持つ意味を大切にして直訳すると、「外を見つめなさい!」となるでしょうか。しかし、それではこの表現が実際にどのように使われているかはわかりません。

 

まず、watch はご存知のとおり、何か(特に、動いているもの)を「じっと見つめる」というような意味があります。問題は out の方で、これは in の対語として「外の(に)」ということを表すのではなく、動詞の意味を強調するような働きがあります。あえて訳せば、「しっかり」でしょうか。例えば、Check it out. であれば、「しっかり確認しなさい」というような意味です。

 

では、件の表現がどのように使われるかというと、例えばバスのドアの横に Watch out your steps! のように書かれています。そうです。「階段に気を付けて!」というような注意書きです。

 

「それなら、Look out! と同じだ」と思った人もいるでしょう。そうですね。使い方は似ています。

 

さらに、「でも、動いているものに watch を使うと言うなら、階段は動いていないじゃないか!Look out! じゃないの?」と思った人もいるかもしれません。そういうときは、なぜ階段で watch の方を使うのかを考えてみましょう。

 

バスの階段を全部上り/下りするまでの映像を思い浮かべてみてください。確かに階段は動いていませんが、一段ずつ上り下りするあなたの足元は“動画”のはずです。つまり、watch を使うのは、「上り/下り終わるまで気を付けて」と伝えたいからなのだと考えられます。

 

いかがだったでしょうか。飛んで来たボールに対して警告を発するときなど、瞬時に「危ない!」とことばを発さなければならないときは「watch か look か」などと考えている余裕はないので、思いついた方(つまり、Look out! か Watch out! )を言えばいいと思いますが、瞬時に言う必要がない場合はぜひ使い分けてみてください。

  

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