オーケストラと合唱の協演

年末のこの時期に、このタイトルをつけたということは、多くの人が何の話が出て来そうか想像できているのではないでしょうか。そうです。年末恒例のベートーヴェンの「第九」のコンサートです。12月19日の夜に、東京オペラシティコンサートホール(京王新線「初台」駅直結)で行われた「令和元年特別『第九』演奏会」に妻と行ってきました。娘が両親へのクリスマス・プレゼントしてチケットをくれたからです。「第九」のコンサートに行くのは、数年前にサントリーホールで行われたものを聴きに行ったのに続いて2度目のことでした。

 

東京オペラシティコンサートホールは、1997年にオープンしたコンサート専用のホールで、変形ピラミッド型の高い天井を有しており、思わず口を開けて見上げてしまいます。また、内装は座席を含めてすべて天然木でできており、音響効果が抜群に良さそうです。娘がとってくれた座席はホール内を囲むように配置されている2階席の左側前列で、ステージと客席の切れ目の辺りでした。ちょうど指揮者を真横から見下ろすような位置です。前日も夜遅くまで仕事をしていたため、演奏中に眠気が襲うことを心配していたのですが、この場所なら迫力があってそれもなさそうです。

 

19時きっかりに始まった演奏は、東京フィルハーモニー交響楽団によるもので、同楽団の名誉音楽監督であるチョン・ミョンフン氏の指揮で素晴らしい音色が奏でられていきます。日頃ほとんどクラシック音楽を聴かない筆者は、それがどの程度のレベルのものかを認識できないのですが、とにかく「すごい!」「美しい!」ということを感じることはできました。また、ホールの舞台の狭さから、やや少なめの人数のオーケストラであったので、演奏者一人一人の顔の表情までを楽しみながら演奏を聴くことができました。

 

第2楽章の最初の方で少しクラッときたのですが(汗)、それを乗り越えると、懸案の(?)第3楽章の静かな調べも落ち着いて聴くことができ、いよいよ第4楽章の合唱が始まりました。途中入場したバリトン、テノール、アルト、ソプラノ歌手の力強い歌声に続いて、演奏開始時から後方に座っていた合唱団(新国立劇場合唱団)が立ち上がって、あの有名な「歓喜の歌」の大合唱が始まります。歌声が一層大きくなった部分では、先述したホールの音響効果を確認したくて、何度か上を見上げて、天井からも響いてくる音を楽しんだりもしました。

 

演奏が終わると場内は大拍手。続いてエルガーの『戴冠式頌歌』の「希望と栄光の国」の演奏もありました。それがどういう曲かよくわからずに聴いていると、途中で有名な『威風堂々』の一部が流れてきて、クラシックに詳しくない筆者にも優しい企画でした。

 

それにしてもすごいなと思ったのは、74分(CD一枚の収録限界時間)もの演奏を休憩をはさまずに続けたオーケストラのみなさんでした。筆者は楽器を何も弾けないので、「第九」を演奏し続けるというのがどれほどのものかを実感できないのですが、長時間の間を一瞬のすきもなく演奏し続けることがどんなに大変なことなのかは、見ているだけで感じました。演奏後はみなさんが退場するまで拍手を送り続けましたが、気がついたら2階席に残っている最後の観客になっていました(笑)。

 

心を豊かにする音楽。いつかまた機会があったら聴きに来たいと心から思いました。(12/22/2019)

 

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