なぜ be動詞の疑問文はbe動詞を文頭に出すのか?

「そんなことは当たり前で考えたこともなかった」と言う人のためのページです。

 

結論を言う前に、日本語の場合を見てみましょう。

(平叙文)「この本は面白いです。」

(疑問文)「この本は面白いです。」

日本語の場合、相手が平叙文で話している間は自分はボーっとして聞いていることができます。ところが、最後の1文字である「か」のところまで来たところで質問されていたことがわかり、びっくりして返事を考えなければなりません。

 

一方、英語の場合を見てみましょう。

(平叙文)This book is interesting.

(疑問文)Is this book interesting?

英語の場合も、相手が平叙文で話している間はボーッとして聞いていることができます。では、疑問文では相手が質問しているのがどこでわかるでしょうか?

そうです。文頭の Is でもう相手が自分に質問しているというのがわかるのです。

 

もうおわかりですね。be動詞の疑問文でbe動詞が文頭に来る理由は…

 

「be動詞を文頭に置くことで、『これから質問しますよ』と相手に知らせるため」

 

よく「英語は結論を先に言う言語である」と言われます。これは、主に会話や文章などにおいて第1文に自分の言いたいことを言って(書いて)、それから細かい内容を付け加えていくことを指しています。そのような英語話者の文化は、文章の構成以前に単文の構成にも現れているというわけです。いや、むしろ単文の構成がそうなっているからこそ、文章の構成もそれに合わせてできていったと考える方が自然でしょう。

 

「結論を先に言う」という言語文化は、疑問詞を文頭に置くということにも現れていますね。

Who are you?

What are you doing?

Where were you last night?

まず疑問文を文頭に置くことで、自分が訪ねたい内容の核心を示していると言えます。

 

今回の内容は「目から鱗が落ちる」というよりは、「そう言われてみればそうだな」というものだったと思いますが、改めて考えてみると面白いですよね。(11/6/2018) 

 

英語教師の方々へ

今回のような内容は、中学校ではbe動詞の疑問文が出てきたところか、疑問詞をひととおり教えたところで扱ってみると面白いと思います。高校の先生であれば、「中学校の頃から当たり前だと思ってきたことだと思うけど、改めて考えたらどうしてだろうね?」とやってみると面白いと思います。

 

指導の肝は、教師がいきなり答えを言ってしまわないことです。そうすると、「また先生が変なことを言い出して、一人で何か言ってるよ」と生徒が思うだけだからです。そうではなく、まず生徒に疑問を投げかけ、誰でも答えられそうな簡単な質問から始め、出てきたいろいろな答えを拾いながら核心に迫り、生徒に答えをまとめさせるようにします。今回の上記の説明もできるだけそのように示したつもりです。

 

このようなやり方を「帰納的」と言いますが、生徒の思考を活性化するためには、この帰納的指導過程が必要です。生徒の頭の中で試行錯誤を繰り返させ、結論に至るまでの道筋を作ってあげることで、学習した内容がより強く脳裏に焼き付き、確かな学力となるのです。