英語の発音は練習次第で上手になる!

日本人の英語学習者の多く-いや、日本人の多く-が、「自分の英語の発音には自信が無い」と思っていると言われます。実際、筆者が国立大学で非常勤講師として担当した英語科指導法の授業で発音に関するテーマの授業をしたり、英語音声学の授業でいろいろな発音方法について話をしたりすると、授業後の感想(毎回の授業で「今日の授業のまとめ」という小テストを課しています)に、「自分の発音に自信がないので、(英語教師になることに)不安があります」という感想がよく書かれていました。

 

発音に自信が無ければ発音を鍛えればいいわけですが、本ホームページを読んでいらっしゃる多くの人は、「いまさらやっても発音はうまくならない」と思っているのではないでしょうか。これは、小さい頃から外国に住んでいた経験のある子供(いわゆる「帰国子女」)や学校以外の場所で英会話などを習ってきた子供(英才教育を受けてきた子供)は発音は上手だけれども、そうでない”普通の子”は中学生になってから習っても、発音が上手になっていないという現実を多く見てきたからでしょう。

 

また、学問的な見地からの考え方もそのような気分を助長しています。英語の発音が上手になることができる年齢の限界は「臨界期」と言われますが、権威のある学者の研究では、それは「5歳まで」だとか、「7歳まで」だとか、「11歳まで」などと言われています。日本の小学校で英語教育が行われるようになったきっかけの1つは、このような研究結果から導かれた考え方に影響されています。また、最近は物心つく頃から英会話の学校に通わせる親が増えていますが、それも発音を含めた英語の習得は年齢が低ければ低いほどよいという考え方を支持しているからでしょう。

 

では、みなさんが中学生、高校生、大学生、あるいは社会人だとしたら、本当に「いまさら学習しても英語の発音は上手にならない」のでしょうか?

 

結論から言いましょう。答えは「いいえ、上手になります」、英語で言えば "Yes, you will." または "Yes, it will." です。さきほど、「”普通の子”は中学生になてから習っても、英語の発音が上手になっていない」と記しましたが、それは学校で適切な発音指導を受けてきてこなかったからで適切な発音指導を受ければ、年齢に関係なく英語の発音は上手になるのです。

 

これは…

①長年中学生の発音指導を行って、生徒を筆者自身よりも発音上手に育ててきた経験

②過去に大学生を対象にした音声訓練を実施してデータを取った研究成果*

③直近2年間(2022-23)で大学生に英語音声学の指導を行って学生の発音能力の向上を目の当たりにしてきた経験

をもとに言っていることで、けっして机上の空論ではありません。

 

そこで、英語を学校で教科として勉強しているみなさん、社会人で英語を再度勉強したいと頑張っているみなさんに、筆者が長年指導してきた発音指導の内容を経験していただくことを目的として、新たシリーズ(名称は「Pn:~」。"P" は pronunciation(発音)または phonetics(音声学)を表す)を立ち上げました。どうか本シリーズの記事をお読みになって、発音を向上させるためのノウハウを学習し、ご自身でそれを実践してみてください。

 

「英語の発音は練習次第で上手になる!」が、本シリーズの全体をとおしてのテーマです。では、P1:から始まる具体的な話の記事をお読みになってください。各記事はできあがり次第、順次アップしていきます。

 

*筆者著「minimal pairによる音素識別訓練が大学生の音素識別能力向上に与える影響の調査」(「全国英語教育学会第42回埼玉大会」(2016.8. 獨協大学)

 

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