④ シャドーイングを行う

「シャドーイング」(「シャドウイング」とも表す)とは、shadowing と書きます。「影」を意味する shadow に ing が付いていますから、「影を追う」という動詞の動名詞、つまりここでは「影を追うこと」ということを意味する活動です。

 

その名のとおり、主となる音声を影のように正確に追いかける活動を指します。つまり、聞こえてきた音声を再生する練習であれば、モデルの音声より少し遅らせて聞こえた音声を再生する活動を指します。

 

よく、音読の活動として教科書を見ながらモデル音声についていくように読む音読を「シャドーイング」と言っている人(先生)がいますが、厳密に言えばそれはまちがいです。

 

シャドーイングとは、本来は初見のピースを聞きながらそれを再生する活動を指します。初めて聞こえてきた音声の意味や文型を捉えた上でそれを言うわけですから、とてもレベルの高い活動です。

 

ところが、教科書の本文のように一度(何度も)読んだものを追いかけるようにして再生しても、それは記憶力を働かせながら再生しているのであって、上記のような作業をしているわけではありません。

 

したがって、シャドーイングをするとなったら、過去に聞いたことのないピース(ニュース、映画やドラマのセリフ、リスニング問題のピースなど)を使わなければなりません。しかし、そうは言っても何の背景知識もない音声でいきなりやるのはかなりハードルが高いので、試しにやってみたい人はすでになじみのある、自分の好きな映画やドラマを字幕を消して“追っかけ再生”してみてはどうでしょうか。

 

すでにお分かりだと思いますが、この活動はかなり学習が進んだ上級者向けです。その証拠に、過去に何人もの英語の達人たちが「シャドーイングで力を付けた」と言っています。

 

それだけの集中力が必要な活動でもあるので、練習するときは気合いを入れてやる必要があります。片手までできるものではありません。しかし、その分はやっただけ力がつくというのは、英語の達人たちが証明してくれています。

 

ちなみに、筆者もかつて若かりし頃に朝の通勤時間の車の中で実行したことがあります。“教材”はFEN(Far East Network、在日米軍向けラジオ)のニュースでした。当時は毎朝通勤中に聞いていたからです。しかし、シャドーイングを実施したときは、職場(学校)に着いたときに、毎回どこをどのように走ってきたかを全く覚えていませんでした。それだけ活動に集中したからですが、これではいつか事故を起こすに違いないと思って、運転中にはやらないようにしました。

 

実はそこでこの活動で英語を学ぶのはあきらめてしまい、それ以降はたまに気が向いたときに何度か短時間やっただけでした。継続的にやっていれば、もっと力をつけることができたかもしれません…、いや、これからでもやれば力がつくでしょう。

 

元に戻る