ことばの気遣い

「31. 仲間のやさし、ありがたさ」でもお話ししましたが、筆者は職場の同僚に大変恵まれており、そのお陰で本業の教育活動も気持ちよく行えています。そういう教員同士の仲間関係は生徒にも伝わっているようで、英語科準備室を訪れる英語係の生徒(全学年の全クラスに2~3名います)は、自分のクラスを担当する教員意外にも心を開いて話をしてくれます。また、時々係の生徒に付いてきてその様子を見た生徒が、「英語科の先生って雰囲気いいよね」とつぶやいて行きます。

 

そんな素敵な同僚たちの気遣い・心使いは、在宅勤務が半ば恒常化してしまった今、ある部分に以前よりも強く出てきています。それはメールです。在宅勤務とはいえ、生徒に対する遠隔授業の準備をしなければならないので、直接会って作業を行うとき以外はメールやZoomで打合せをすることになりますが、メールの内容や言葉遣いが以前にも増して丁寧になってきているように感じます。

 

仕事の打合せのためにメールを送るのですから、本来であれば用件のみズバリ書いておしまいにした方が効率が良く、相手にもメールを読む負担を少なくできます。しかし、そこはやはり感情を持った人間同士ですから、相手の気持ちを慮る部分も必要です。英語科の同僚たちは特にそう考える人が多いのか、自然に本来の用件よりも相手のことや相手と自分をつなぐ内容の方が多くなっている気がします。また、ことば遣いも丁寧です。そのせいか、うんざりするほど(?)多くのメールに対処しなければならない昨今において、英語科の同僚からのメールは安心して開くことができます。

 

メールやSNSでは、ことばの暴力やことばが元になったトラブルのことをよく耳にしますが、誰もがストレスをためてしまっている今の状況下では、なおさら相手とのことばのやりとりには注意したいものです。それはメールなどの書きことばによるコミュニケーションにかぎりません。自宅待機が半ば強制されている今は、家族が直接ことばを投げかけ合う対象の多くを占めていると思います。平素ではなんとなく雑な対応でも済んでしまっていたことも、今の状態ではどういう悪い方向への引き金となるかもしれないので、ここは自分の言動をより慎重にしたいものです。

 

英語の勉強では、筆者の生徒の多くが「英語をペラペラしゃべれるようになりたい」ということを目標にしています。本ホームページの読者の方にもそういう方が多いでしょう。そのこと自体は否定しませんが、その英語を話す根底にある、話し手としての資質を向上させるということも大切です。英語を話せるようになる前に、日本語で相手ときちんとコミュニケーションできる素養を身に付けたいものです。それなしには、ただの「英語が話せるだけの○○なヤツ」になりかねません。

 

「ことば遣い」を工夫して相手と良好なコミュニケーションを行う力を磨くのに、今は絶好の機会かもしれません。筆者も家族や同僚、そして関わりをもったすべての人に、これまで以上にことば遣いを丁寧にしていこうと思います。(5/9/2020)

 

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