hear と listen のちがい

【質問】

hear と listen のちがいは何ですか?

 

【回答】

 この2つの動詞は、いずれも「聞く」という行為を表す動詞であることから、しばしば生徒から「ちがいは何ですか?」という質問を受けます。もちろん、自分で辞書を引いてそれぞれが使われている例文を見ればすぐにわかると思うのですが、そう言ってしまっては元も子もないので、ここでしっかり見ていきましょう。

 

中学生や高校生のみなさんであれば、英語の授業で先生がみなさんに対して次のように言ったことがあると思います。

 

Excuse me, but I can't hear you.  Say it again, please.(すみませんが、聞こえないので、もう一度言ってください。)

 

この時、先生は決して I can't listen to you. とは言わないでしょう。一方…、

 

Listen to me, carefully.(注意深く聞いて。)

 

この時、先生は決して Hear me, please. とは言わないはずです。

 

もうおわかりだと思いますが、hear は何もしていなくても自然に「聞こえる」という受動的な行為を表します。一方、listen は自分の意志で「耳を傾ける」という能動的な行為を表すのです。なお、hear は後ろに直接「〜を」にあたる目的語を置けますが、listen には to が必要です。それは、耳を傾ける先の到達点を示す必要があるからです。

 

では、次のような場合は、hear と listen to のどちらを使うでしょうか?いずれも直後に the sound(その音)があり、( )の語と合わせて「その音を聞く」ということになります。意味を考えて入れてみてください。

 

① 大きな音が聞こえた場面です。

 →What's that?  Did you(   )the sound?

② 相手にヘッドホンを渡している場面です。

 →Hey, take this and(   )the sound. 

 

そうですね。①は「その音が聞こえましたか?」、つまり自分では何もしなくても聞こえるということですから、hear が入ります。②は「その音を聞いてみなさい」、つまり自分で耳を傾けて聞くということですから、listen to が入ります。 

 

最後にもう一度まとめてみます。

・hear は自然に「聞こえる」

・listen は意識的に「耳を傾ける」

です。

 

いかがたったでしょうか?それぞれの語が持っている元々の意味をしっかりおさえておいてくださいね。

 

なお、上記のような区別は多くの辞書でも説明されているものですが、ネイティブ・スピーカーの感覚として別の見解を述べている人もいます。例えば、「hear は『音』を聞く場合に用いられ、listen は『内容』を聞く場合に用いられる」というものです。確かに、多くの例文がそれにあてはまるようにも思われます。ただし、hear にも I will hear your idea.(あなたの考えを聞きましょう)などという、機能的にも内容的にも listen to と同じように使われる例があることを考えると、音と内容という区別も一概に正しいとは言い切れません。

 

したがって、中高生のみなさんであれば、先述した太字のまとめを頭に入れておけば、多くの場合で適切に使い分けることができるでしょう。

 

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