一足早い夏休みの思い出

筆者は、勤務は一般の方とそれほど変わらないとはいえ、夏休み中は最大の仕事である授業がないので、気軽に休みを取ることができ、その意味では学生に近い夏休みを送っています。

 

今年の夏は、成人してそれぞれの生活を楽しむ2人の子供を置いて、妻と二人で北陸へ2泊3日の夫婦旅行に行ってきました。そこで、少し早いのですが、そのときの印象に残ったエピソードをお話しします。ということで、前回に続いて本業とはまったく関係のない話です。

 

「北陸へ…」と言っても、筆者の目的は福井県立恐竜博物館、妻の目的は金沢21世紀美術館で、後はガイドブックを頼りにそのときに決めるという、最近の旅行では定番となっている行き当たりばったりの旅でした。二人の当初の目的は最初の2日間で済んでしまい、最終日は夕方に金沢を出発する新幹線に乗るまで、買い物をしたり金沢市内をブラブラしたりするということになったものの、二人の気持ちは固まっておらず、どうしたらいいか決まっていませんでした。

 

そんなグダグダの気持ちの中で、何気なく見ていたあるテレビ番組に二人とも釘付けになりました。それはNHKの『プロフェッショナル 仕事の流儀』で、その日は「世界一のジェラート職人」(←予告編)と言われる柴野大造さんという人を扱っていました。しばらくすると、柴野氏は石川県能登町でお店を開き、支店を野々市市にも持っているとのこと。「野々市ってどこだ?」という私に妻がスマホで調べると、「大変!金沢から2駅で行ける。駅から徒歩10分!これは行くしかないでしょ!」と主張する妻の勢いに押され、翌朝JR北陸線に乗って、件のお店(マルガー・ジェラート野々市店)に行くことになりました。もちろん、それは2泊とも金沢駅から徒歩2分くらいのホテルに泊まっていたので、すぐに行けるということもありました。

 

「テレビでやったから、人がたくさん並んでいて買えないのでは?」との心配をしながら、開店10分前にお店に着くと、なんと一番乗りでした。開店と同時にお店に入り、番組で紹介していた”世界一”に輝いた「パイナップル・セロリ・リンゴのソルベ」と”日本一”になった「オレンジバニラのマスカルポーネ」をダブルで、番組後半で紹介されていた新開発の「マルガーモッツァレラチーズ」をシングルで注文して、お店の中で味わいました。

 

3つとも美味しかったことはもちろんですが、私のお目当ては番組に出演していた柴野大造氏でした。番組では、能登の本店ではなく野々市の支店で研究開発している様子でしたが、すでに何度もテレビで紹介されているような売れっ子なので、そこにはいないだろうと思っていたところ、なんとすぐ目の前のガラス・ウィンドーの向こうに氏が現れたではないですか。しかもテレビのときのように、何やら新しい作品を開発しているような様子で作業をしていました。ところが、開店時には満員になっていた他の客達は氏には無関心。ミーハーな筆者は「これは話しかけるしかない」と、思い切ってウィンドーの氏に話しかけました。すると、氏が奧から出てきて話してくれました。さらに、しばらくしてそろそろお店を出ようとして入口まで行ったところで後ろを振り返ると、奧にいる氏とまた目が合いました。すると、氏はわざわざまた奧から出てきて、店の入口まで挨拶に来てくれたのです。そこで、番組で語られていたエピソードなどについて話し、一緒に写真を撮ってもらえるか頼んだところ、快く引き受けてくれて、妻と一緒にお店の前で写真を撮ってくれました(筆者は遠慮しました。今更遠慮しなくてもよかったかなあ…)。

 

もちろん、筆者が柴野氏と話してみたかったのは、氏の仕事に対する情熱に感服したからでした。事情があって一年くらい前から仕事をセーブせざるをえなくなった筆者にとって、番組に描かれていた氏の姿は自分の夢を疑似体験させてくれているような姿でした。(8/11/2019) 

・左が世界一になった「パイナップル・セロリ・リンゴのソルベ」と日本一になった「オレンジバニラのマスカルポーネ」

・右が番組後半で紹介されていた新開発の「マルガーモッツァレラチーズ」

 

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