直接話法・間接話法とは何?相互に書き換えられるの?

今回のタイトルの最初のテーマである直接話法と間接話法がそれぞれどういうものであるかというのはそれほど難しくはありません。しかし、2つ目のテーマである両者の書き替えについてはいつくか注意しなければならないことがあります。そこで、まずは直接話法と間接話法のちがいをはっきりさせ、その後に両者を相互に書き替える方法について説明していきます。

 

1. 直接話法と間接話法

 

「直接」と「間接」ということばだと想像しにくいのですが、実際にはそれぞれは次のような英文のことを指します。

 

①直接話法:He said, "I will help my friends."

➁間接話法:He said (that) he would help his friends.

 

つまり、直接話法は実際の発言が「 '  '」(quotation mark =引用符)または「"  "」(double quotation mark)で示されているものを指し、間接話法は実際の発言の部分も客観的な描写で表したものを指します。

 

2. 直接話法と間接話法の相互書き替え

 

高校のテストや大学入試に出題される直接話法と間接話法の相互書き換え問題は、主に文法の理解度を測る、つまり知識の度合いを測定するためのものです。しかし、その知識があるかないかは、実際の会話や文章を書くときに特に間接話法を正確に使いこなせるかどうかという技能にも関わります。そこで、ここでも相互書き換えのトレーニングをしておきましょう。

 

(1) 書き換えの基本:時制の一致等

問題集や入試問題などで出題される話法の書き換え問題のほとんどが直接話法を間接話法に変えるものです。したがって、間接話法の留意点をしっかり頭に入れておく必要があります。

 

まず1.の例文をもう一度見てください。

 

① 直接話法:He said, "I will help my friends."

➁ 間接話法:He said (that) he would help his friends.

 

➁では①の実際の発言(以下「伝達文」とします)を含めて客観的に表現しますから、①の伝達文にあった I と my はそれぞれ he、his に直す必要があります。また、that-節の中の動詞は文の主動詞の時制に一致させる必要があるので、ここでは will を would に変える必要もあります(時制の一致)。 

 

時制の一致は次のように直接話法の伝達文の中の動詞がもともと過去形であった場合はさらに一段階過去に変える必要があります。

 

③ "She was here a minute ago," said Bob.

④ Bob said (that) she had been here/there a minute before." 

 

③の伝達文の was は ④では had been という過去完了にします。その他には、here の場所が Bob とこの文の発言者の位置によって異なります。Bob とこの文の発言者が here にあたる場所にいれば➁も here ですが、この文の発言者が後から別の場所にいて Bob の台詞を振り返って言っているなら there となります。また、③で使えた ago は過去形に使えても過去完了には使えないので before に変える必要があります。

 

ただし、次のような場合は間接話法の中の伝達内容の動詞の時制は変えません。

 

⑤ I answered, "Air is lighter than water."

⑥ I answered that air is lighter than water.

 

これは伝達文が一般的真理を表すので、その内容まで過去にしてしまうと現在ではそうではないということを表してしまうからです。また、次のように伝達文が歴史的事実を表す場合も同様です。

 

⑦ "The telephone was invented in 1876," explained the teacher.

⑧ The teacher explained that the telephone was invented in 1876. 

 

あと、伝達文が仮定法のときも同様に間接話法の中の動詞の時制はもとのままとします。

 

(2) 伝達文が疑問文の場合:動詞の選択や語順に注意

直接話法の伝達文が疑問文である場合は、間接話法にするときにさらに気をつけることがあります。

 

① "What time will you be back tonight?" she said.

➁ She asked (me) what time I would be back tonight / that night.

 

➁でまず注意したいのが動詞を said から asked にすることです。これによって伝達文が疑問文であったことを示すことができます。次に、伝達文が疑問詞を使った疑問文であった場合は、疑問詞はそのままの位置に置きながらその後ろは「主語+動詞」の順番にします。これは間接疑問文の語順と同じです。もちろん時制の一致を忘れてはいけません。それから、①の文を発言者がいつ言ったかによって➁の時間を表す表現が変わります。発言者が she の台詞の直後にこれを言ったのなら同じ日ですから tonight ですが、後日振り返って言ったのなら that night とします。

 

③ "Do you like my new dress?" said Jane to her husband.

④ Jane asked her husband if he liked her new dress.

 

③のように伝達文が疑問詞のない疑問文の場合、④では if や whether などの接続詞を伝達内容の前に置きます。もちろん、ここでも動詞を ask にしたり、伝達文の主語と時制の一致にしたりすることを忘れてはいけません。

 

(3) 伝達文が命令文の場合:動詞の選択や文の形に注意

直接話法の伝達文が命令文である場合も、間接話法のするときに注意すべき点があります。

 

① "Show me your passport," the officer said.

➁ The officer told/ordered me to show my passport.

 

①の伝達文が命令文の場合、➁の動詞は命令されていることがわかる tell や order などを使います。また、命令内容は to不定詞で表すようにします。つまり、tell/order +(人)+to不定詞 の文型にするということです。もちろん、your を my に直すことも忘れてはいけません。なお、直接話法の伝達文が "Don't ~." の命令文であった場合は、間接話法の後半部分は "not to不定詞" になります。

 

③ "Please come to my party, " Mary said to me.

④ Mary asked/invited me to come to her party.

 

③の伝達文が Please で始まる命令文の場合、④の動詞は頼まれていることがわかる ask や invite などを用います。後半の部分を to不定詞にしたり、my を her に変えたりするのは➁と同様です。

 

【伝達文がその他の場合】

他にも伝達文が感嘆文の場合、重文の場合、複文の場合、複数ある場合、などで気をつけることがありますが、ここではそれらは省略します。

 

<まとめ>

以上のことをまとめると、次のようになります。

 

① 英語の話法には、人のことばをそのまま伝える直接話法と、人のことばを自分のことばになおして伝える間接話法がある。

 

➁ 直接話法と間接話法を相互に書き換える場合は、時制の一致が最大のポイントである。書き換えを行う場合はその点に十分に注意する必要がある。ただし、一般的真理の文、歴史上の事実、仮定法を使ってを表す文では書き換えによる時制の一致を調整する必要はない。

 

③ 話法を転換する際に注意するのは、すべての文の形で時や場所を表す副詞(句)、直接話法の伝達文が疑問詞を使う疑問文の場合は間接話法の疑問詞以下の語順、伝達文が命令文の場合は文型がS+V+O+to不定詞

になること、などである。