今回の文法事項は高校で習うものなので、中学生の人は飛ばしてもらうか少し背伸びをした予習のつもりで読んでください。
高校で習う文法事項の中で最も難しい項目の1つが「分詞構文」でしょう。理解をすることはできても、自分でそれを使いこなせるようになるにはかなりの熟達度が必要な文法事項です。そこで、ここでは分詞構文について易しく説明しましょう。 【参考】A NEW APPROACH to English Grammar<ニューアプローチ英文法>(東京書籍)
1.「分詞」とは?
分詞構文について説明する前に、そもそも「分詞」とは何かを確認しておきましょう。中学校でこのことば(名称)が出てきた文法事項がありましたが、それを覚えているでしょうか?
そうですね。現在分詞と過去分詞です。もしかしたら前者の名称は知らない人もいるかもしれません。
① 現在分詞…<動詞の-ing形>で、「~している」という意味がある。進行形や「~している…」という意味の名詞を修飾する語として使われる。
・Tom is playing tennis with his friends.
・Look at the swimming girl over there.
【注】同じ動詞のing形でも「~すること」を表す動名詞とは異なる。
② 過去分詞…<動詞の-(e)d形または特殊な形>で、「~してしまった」という完了の意味や「~される」という受け身の意味がある。
・I have lived in Tokyo for ten years.
・Osaka Castle was built by Toyotomi Hideyoshi.
つまり、動詞を変化させて少し異なった意味で使えるようにしたのが分詞というわけです。「分」ということばがわかりにくさを助長している気がしますが、これは分詞を意味する元の英単語が particle で、それを忠実に訳したためにそのような日本語になったと思われます。
2.分詞構文とは?
簡単に言ってしまうと、「現在分詞または過去分詞を含む句だけで節(副詞節)のような働きをするもの」と定義(筆者による)できると思います。
英文は簡単なものは単文(主語と動詞が1つずつの文)でできていますが、中には2つ以上の文が連続して1つの文になっているもの(複文や重文)があります。この場合、それぞれの”文”の部分は「節」と呼ばれます。
① Taro has lived in Tokyo for 15 years.<短文>
② Since Taro was born, he has lived in Tokyo for 15 years.<複文>
②の文の場合、Since Taro was born という節と he has lived in Tokyo for 15 years という節の2つの節で1つの文になっています。また、前半の節を「従属節」、後半の節を「主節」と呼びます。
分詞構文は、上記の「従属節」の部分を<主語+動詞>という形ではなく、<現在分詞/過去分詞+アルファ>の形で1つのまとまった意味を表す表現にしたものです。
③ Looking out of the window, I saw a stranger at the doorstep. (窓から外を見ると)
= When I looked out of the window,
④ Seen from the plane, these islands are really beautiful. (飛行機から見ると(見られると))
= When they are seen from the plane,
なお、分詞構文では主節の部分の主語と分詞句の部分の主語は一致していなければなりません。例えば、上記の文では、③の主文の主語は I で、「見ている」人も I なので、looking という現在分詞を使います。一方の④の主文の主語は these islands で、見ているの人が不明な中で these islands は「見られる」と受け身で表現する必要があるので、seen という過去分詞を使うことになります。
3.分詞構文のバリエーション
分詞構文には時制によっていろりろなパターンがありますので、それを例をあげて説明しましょう。
(1) 基本の形 主語と時制が主節と一致しているタイプ
① Walking along the stream, I met a group of hikers.(小川沿いに歩いていると)
= While I was walking along the stream,
② Tired after a long walk, I went to bed early.(長い時間歩いて疲れいたので)
= As I was tired after a long walk,
(2) 完了形の形 主節の時制より前に起こったことを表しているタイプ
① Having finished my task, I sat down for a cup of coffee.(自分の仕事を終えたので)
= After/As I had finished my task,
② Not having seen him for a long time, I did not recognized him.(長い間彼に会っていなかったので)
= As I had not seen him for a long time,
(3) 独立した主語を示す形(独立分詞構文) 主語が主節の主語と異なるタイプ
① Nobody having any more to say, the meeting was closed.(誰もそれ以上言うことがなくて)
② The last bus having gone, we had to walk home.(最後のバスが行ってしまったので)
(4) 慣用的な表現のもの その部分の主語が誰かを示さないタイプ
① Strictly speaking, the sentence is not grammatical.(厳密に言うと)
② Talking of books on the Silk Road, have you read this one?(シルクロードに関する本の話をすると)
※このタイプには他に generally speaking(一般的に言うと)、judging from ~(~から判断すると)、considering ~(~を考えると)などがある。
4.分詞構文の特徴のまとめ
最後に、分詞構文の特徴についてまとめておきます(これまでの説明にはなかったことも含みます)。
(1) 分詞構文には、現在分詞を使うものと過去分詞を使うものがある。機能としては、分詞が中心となって1つの副詞節のような役目をはたす。
(2) 現在分詞の構文では、「~しているときに」と時を表したり、「~なので」と理由を表したり、「~だけれども」と譲歩を表したり、「~して」と付帯状況を表したりする。また、過去分詞の構文も現在分詞と同様に、主に時、理由、付帯状況を表す。
(3) どのような意味で使われているかがあまり明確でないが、意味をはっきりさせたいときは、分詞の前に接続詞を置くという方法もある(ただし、そうすると分詞構文ではない)。
(4) 分詞構文の部分の時制が主節の時制より前である場合は、分詞の部分を完了形にする。
(5) 分詞構文は、分詞の意味上の主語は主節の意味と同じでなければならない。しかし、分詞の主語が全く別の分詞構文を作ることもできる。それを独立分詞構文と言う。その場合の主語は分詞の前に置かれるが、慣用的な表現では主語が省略されることもある。
いかがだったでしょうか。これで分詞構文とは何かが明確になったと思います。「まだよくわからないなあ…」という人は全体を何度も読み返してみてください。きっと「スっと」理解できる瞬間が訪れるはずです。