〇文字から〇文字はどうやってできたのか?

タイトルは、それを見ただけで「2. 大文字と小文字はどちらが先にできたか?」の答えがわかってしまうので、その部分を隠してあります。そちらを未読の方は、先にそちらをお読みください。

 

アルファベットは、大文字が先にできて、そこから小文字ができました。では、どのように変化してできたのでしょうか? これも調べればわかることですが、少し考えてから確認しましょう。

 

「2. 大文字と小文字は…」では、大文字から小文字ができた理由を以下のようにまとめました。

 

・小文字は大文字より画数が少ない。

・小文字は大文字より小さい。

 

したがって、大文字から「画数を少なく」「小さく」するようにすれば、小文字ができあがるわけです。もちろん、小さくしただけのものもありますが、ここではそうではないものについて考えてみましょう。

 

それを考えるにあたっては、日本語で漢字からひらがなやカタカナができた過程を改めて振り返ってみるとそれがヒントになります。小学校4年生の国語の教科書には次のような図が載っていますので、それらを参考にしてみてください。 

 


 

1. 実習① 

例えば、大文字の「B」から小文字の「b」はどのようにしてできたのでしょうか?一見してわかることは、上側の出っ張りが無くなったわけで、それがどうやってなくなったかということです。

 

実は、大文字からみなさんが知っている小文字がいきなりできたわけではなく、その途中の形も実際に存在するのです。そこで、次のような変化の過程を考えたとき、段々と変化していく途中の形はどのようなものであったかを考えてみてください。

 

B →_→_→_→ b  

 

ここでヒントです。

 

①「画数を少なく」から、究極的には画数を「1」にする

 →途中で止めずに一気に書く、「一筆書き」にする。

 

②最初は上から下に書き下ろす

 →スタートは2方向しかない。

 

これで、上の出っ張りを消してください。

 

どうでしょうか。答えが書けたところで、正解を見てみましょう。

 

いかがでしたか。正解できたでしょうか。

 

2. 実習②

では、もう1つやってみましょう。こちらは難題です。何せ、多くの人がおそらく疑問に思ってきたであろうことを解決しなければならないからです。

 

D →_→_→_→ d  

 

そうです。小文字になると、なぜ出っ張りが反対方向になるのかを解決できる途中経過を考えてください。こちらも、やり方は B → b のときと同じです。

 

どうでしょうか。答えが書けたところで、正解を見てみましょう。

 

いかがでしたか。正解できたでしょうか。

 

3. 原典・参考資料 

繰り返しますが、正解として示した「途中経過」は実在するものです。これらは、今では絶版となっている研究社『VISTA英和辞典』の各アルファベットの冒頭に示されているものです。

 

ここまでわかると、残りのアルファベットもどのように変化したのかが気になりますよね。そういう人のために、26文字の変化がわかる一覧表を作ってみました。上記の英和辞典の該当箇所をコピーして、つぎはぎしたものです。こちらをクリックしてください。(11/25/2018) 

英語教師の方々へ

今回の話は、「2. 大文字と小文字のどちらが先にできたか?」に続いて指導したい内容です。アルファベットを正しく読めて書けるようになるのも大事ですが、その「書くこと」の意欲を高めることに貢献します。特に、小文字を書く前に指導すれば、それぞれの文字の成り立ちを意識しながら書くことができます。

 

授業運営上も大変効果がある活動です。今回の話は生徒に大変人気があるので、知識を授ける活動としては、異例なくらい生徒が食いついてきます。なぜなら、「頭がいい」とか「知識が豊富だ」とかに関わらず、誰でも正解が出せる可能性がある活動だからです。全員が面白いくらい真剣に取り組みますから、ぜひやってみてください。

 

指導の仕方はいろいろあると思いますが、1つのやり方は上記に示したような過程で話を進めることです。

それをまとめると、以下のような指導過程になります。

 

① 生徒に話題を振って、第一印象の答えを考えさせる。

② 解決すべき課題を明確にする。

③ 答えに迫るための方略を生徒から出させて確認する。

④ 答えを考えさせ、書かせてみる。

⑤ 進行具合を見て、ヒントを出す。

⑥ 生徒が考えた答えを紹介する。

 ※生徒自身に板書させてもよい。

⑦ 正解を示す。

 

なお、今回の話は中学校1年生の入門期指導を前提としていますが、高校で改めて取り上げても面白いと思います。知的好奇心が高まっている高校生なら、きっと真剣かつ意欲的に取り組んでくれると思います。