It is what it is.「それはそれが何であるか」?

この表現はあらゆるジャンルの映画やドラマなどで頻繁に耳にする表現です。使われている英語は中1の最初に(今では小学校で)習う簡単なものだけですが、その本当の意味を理解するのはそれほど簡単ではありません。その本当の意味を確認する前にこの文の構造を見てみましょう。

 

まずこの文は「主語(it)」+「動詞(is)」+「補語(what it is)」でできた第2文型と思われます(文型については「5文型とは?どうやって見分けるの?」を参照)。つまり、"This is my pen." と同じ文型だと思ってください。ですから、「それは~です」という意味になります。

 

次に、冒頭の it は代名詞ですから、直前の誰かの発言内容を指していると思われます。したがって、この表現が何の前振りもなく突然最初の台詞として出てくるということはありません。最も解釈が難しいのが「補語」にあたる what it is です。この「疑問詞+主語+動詞」という表現(これは「節」でしょう)は間接疑問と同じ語順です。タイトルの意味の後半を「それが何であるか」としたのはそのためです。

 

さて、その what it is ですが、これは本来 it is what として補語であった what が前に出てきたものであると考えられます。一方、what は先行詞を含んだ関係代名詞として使われることもあり、その場合は「~(である)こと/もの」などの意味で使われます(例:You can eat what you like.「好きなものを食べていいよ」)。そうすると、この文の what を「~(である)こと」としてみると、文全体の意味が見えてきます。

 

「それはそれが~であること」

 

この「それが~であること」とは、「それが本来~であること」という意味です。つまり、この文は「それはそれが本来~であること」という意味になります。これをもう少し砕いてみると、「それが本来の姿である」のような意味です。さらに言えば、「それが本来の姿であり、それは変えられない」という意味まで含みます。したがって、映画やドラマでこの台詞が流れると、字幕には「それはしかたがない」とか「それは運命だ」などと出てくることが多くなっています。

 

似たような表現としては、You are what you are. などがあります。これを上記と同じように解釈すれば、「それが本来のあなただ」ということになります。この台詞はたいてい誰かが自分のことを卑下したり自分のやったことを後悔しているときなどにその人を慰める表現として使われます。 

 

この表現とは少し文型が異なりますが、「主語」+「動詞」+「目的語」の目的語の部分が「疑問詞+主語+動詞」になっている例として次のようなものもあります。

 

You did what you had to do.(あなたは自分のやるべきことをやっただけだ)

 

これも誰かが What have I done?(おれはなんてことをしてしまったんだ!)のように嘆いたりしたときに、その人を慰める表現としてよく耳にします。

 

今回の表現は簡単な単語だけで構成されているものですが、意外に奥の深い意味を含んだものです。場面に応じて上手に使えるようになったらいいですね。

 

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