Hell of a day.「ある日の地獄」?

今回の表現は映画やドラマのジャンルにかかわらず、かなりの頻度で耳にする表現です。そのままでもなんとなく意味がわかりますが、直訳として与えたタイトルの日本語では正確なニュアンスは伝わらないので、改めて詳しく見ていくことにします。

 

まず、hell は「地獄」ですね。次に、of は「~の」という所有関係を表す前置詞。そして a day で「ある日」で、「一日」と捉えることもできるでしょう。したがって、タイトルの日本語のような訳を与えています。では、「ある日の地獄」とはどういうことなのでしょうか? 実際に使われる場面を見てみましょう。

 

<場面1>

A: Did you finish that work, B?

B: Yes.

A: How was it?

B: I had a hell of a day,

 

<場面2>

A: B, you look awful!  Are you OK?

B: Sort of....

A: Hell of a day, huh?

B: Yeah....

 

上記2つの場面に共通しているのは、Bが何か大変なことをやり終えたことに対して、場面1では本人がそのことを、場面2ではAがBの様子を見て今回のせりふを発しているということです。話の流れからすると、「大変だったよ」と自分で言ったり、「それは大変だったね」と相手をねぎらったりすることばであることがわかると思います。元の表現をうまく使えば、「地獄のような一日だった」ということになります。

 

筆者がこの表現を初めて聞いたのは、30年以上前のことだったと思います。確か、何かの映画だったと思うのですが、残念ながらタイトルが思い出せません。しかし、"Hell of a day, isn't it?" という具体的な台詞とそれを言った人の声のトーンがしっかり頭に残っているので、おそらくビデオで繰り返し見た作品でしょう。思い出したら、加筆・修正します。なお、最近見たドラマでは、『スター・トレック:ディスカバリー』(STAR TREK: DISCOVERY)の第4シーズン第2話で主人公の女性がこの台詞を口にしています。今から1000年以上未来の32世紀でも使われている表現ということになります(笑)。

 

もっとも、hell という単語はあまり良い意味の語ではないので、この表現を使うときは注意が必要です。例えば、What are you doing here? と言えばいいところを、What the hell are you doing here?(一体全体何をしているんだ?)と言っていることをよく耳にします。ここでの the hell は内容を強めるための表現です。ただ、これは友達や仲間同士のカジュアルな会話でのことで、きちんとした場面で使われることはありません。したがって、使うときは場面や話し相手を見極める必要があります。

 

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