Could I have your attention, please?「私はあなたの注意を持てましたか、どうぞ?」?

「(ピン、ポン、パン、ポ〜ン)アテンション、プリーズ。アテンション、プリーズ。」


筆者と同年代以上の方でしたら、すぐに思い浮かぶシーンがあるでしょう。そうです。これは、1970年にTBS系列テレビで放映された、『アテンションプリーズ』(紀 比呂子主演)というドラマで一躍有名になったフレーズです。当時はまだ庶民には海外旅行など夢のまた夢で、このドラマを見て空港の雰囲気や客室乗務員(当時は stewardess、今は cabin attendant=CA)の華やかさに多くの人が憧れたものです。そのタイトルにもなっている Attention, please. は、空港アナウンスの冒頭に必ず付けられる台詞です。「皆様にご案内申し上げます」という意味で使われています。


以来、空港では常にこの表現が使われているのかと思っていましたが、時代とともに少しずつ変わってきたのか、今ではタイトルのようにフルセンテンスで言う方が多いようです。ただ、それを「私はあなたの注意を持つことができますか?」と直訳したのでは、真に伝えたい意味がわかりませんね。


文頭の Could I は、Can I とほぽ同じで、「私は〜することができますか?」という意味ですが、過去形にすることでやや婉曲的な表現になるので、より相手に丁寧な印象を与えます。ここを May I とした表現もごく普通に聞きます。「私は〜してもいいですか?」という許可を求める表現です。


次に have your attention は、「あなたの注意を持つ」、つまり「あなたの注意を私に向ける」という意味です。そして最後に、丁寧なお願いをするときの決定的な台詞である please が添えられています。この please は結構重要な単語で、相手が自分に何かを頼むようなときにこれを付けないと、「何か一言忘れていないか?」と相手に要求されるような場面を映画やドラマでよく見かけます。


自分がアナウンスをするような立場にならないと使わない表現ですが、映画やドラマで空港、港、駅、デパート、遊戯施設など人が大勢集まっている場所が舞台の場面では度々耳にする表現ですので、ぜひ覚えておきたいですね。


なお、余談ですが、冒頭で紹介したドラマは、

2006年にフジテレビ系列で上戸彩さん主演でリメイクされたものが放映されましたので、比較的若い人にも馴染みのある表現かもしれません。また、客室乗務員を主役にしたドラマでは、他に1983年にTBS系列テレビで放映された『スチュワーデス物語』( 堀ちえみ主演)もありました。ただ、後者は「教官!」という表現が流行語になるほど印象的だったので、件の表現は余り目立たなかったかもしれません。

      

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