今回の表現にはビックリマーク(正しくは exclamation mark)が付いているので、何かかなり強い意味を相手に伝えようとしているのだということがわかりますね。実はタイトルの表現は完全な文ではなく、状況によって残りの部分を想像させることが前提の省略文なのです。完全な文としては次のような例があります。
① How dare you say such a thing!
② How dare you speak to me like that!
③ How dare you come to see me!
いずれの文も "How ~ !" の形ですから感嘆文のようにも見えますが、how の後ろの語は後で説明するように形容詞や副詞ではないので感嘆文ではありません。例文では最後が「?」になっているものもあるので、本来は how で始まる疑問文と考えるのが妥当でしょう。「!」が付くのは、本来は相手に質問する文でありながら、実際には質問ではなく何か強い内容を伝えている場合と考えるといいと思います。
では、いつもどおり細かく分析していきましょう。
最もキモとなるのは dare という単語です。中学校ではまず教科書には出てこない単語なのであまり目にしませんが、これは「あえて~する」という意味の語です。実は dare は do と同じように動詞と助動詞の両方で使えます。上記の①~③の例文だとどちらでしょうか?そうですね。疑問詞 how と主語の you の間にはさまれ、その後に say, speak, come などの動詞がありますから、これらの文では助動詞として使われていると判断されます。
そこで、①~③の英文の意味を直訳してみると…
①「あなたはどのようにあえてそのようなことを言うのか!」
②「あなたはどのようにあえてそのように私に話すのか!」
③「あなたはどのように私に会いに来るのか!」
となります。
これでもだいたい言いたいことがわかると思いますが、もう少し意訳してみると…
①「よくもそんなことが言えるな!」
②「よくもそんな口の利き方が私にできるわね!」
③「どの面さげて俺に会いに来たんだ!」
と、こんな感じでしょうか(笑)。つまり、相手の発言や行動に腹を立てたときに言うことばだということがわかりますね。
そこでタイトルの表現ですが、場面によってちがいはありますが、この表現が使われるのは相手の言動に腹を立てているときです。ですから、その内容を最後まで言わなくても相手には言いたいことがわかるので、How dare you! という表現がよく使われ、それが定着してイディオム(慣用表現)になりました。映画やドラマなどを見ていると、さらに How dare! で止まっているのも聞くことがあります。このときの言い方は How DARE! と dare がかなり強調されています。
今回の表現は英語の初学者が使うものとしてはレベルが高いものであり、また相手にかなり強い文句を言うという状況もあまりないので、みなさんが使うことはあまりないと思いますが、映画やドラマでは頻繁に耳にする表現なので、ぜひ覚えておいてください。