今回の表現は、タイトルの日本語の表現から本来の意味を想像できるかもしれません。なぜなら、実際の意味を見てもらうと、タイトルの表現に近いからです。では、細かく見ていきましょう。
let は中学校では Let's go! などの表現で「〜しましょう」という意味だと習います。しかし、同文を分解すると Let us go! となることはご存知ですね。この文は〈let + 人 + 動詞〉で「(人)に〜させる」という意味の表現になることからきています。つまり、件の文は「私たちに行かせなさい!」という意味であり、そこから「行きましょう!」ということになるわけです。
let は <Let + 人 + 副詞>という形で同じように「(人)を~させる」という意味で用いることもでき、タイトルの文のように用いると、「私はあなたを下にさせないだろう」という意味になります。この文の down は go down などに用いられる副詞で、「下に」という意味があります。では、「あなたを下にさせない」とはどういうことなのでしょうか。次のこの表現が実際に使われている会話を読んで考えてみましょう。
【例1】
A: I'm sorry, sir, but I didn't mean to do that.
B: Don't you ever do that again.
A: No, sir. I won't let you down. You have my word.
【例2】
A: Private Smith, you did a hell of a job today.
B: Thank you, sir.
A: Because of your hard work, you are promoted to sergeant.
B: Oh, thank you, sir. Thank you.
A: I hope you will do more than we have expected.
B: Yes, sir. I won't let you down.
さて、上の2つの会話はおおむね次のような意味です。
【例1】
A: 申し訳ありません。あんなことをするつもりはありませんでした。
B: 二度と同じことをするな。
A: はい。〈タイトル文〉 約束します。
※なお、答えのNoが「はい」なのは、Bの否定の台詞に対してそれと同じ否定の内容を言うため。このような場合は日本語と英語は逆になるので注意する。
【例2】
A: スミス2等兵、今日は大活躍だったな。
B: ありがとうございます。
A: 素晴らしい働きにより、君を軍曹に昇進させよう。
B: そ、それはありがとうございます。
A: 今まで以上の活躍を期待しているぞ。
B: はい。〈タイトル文〉
例1では、自分のしたことを謝った後に何かを誓っているような場面ですね。例2は相手の期待に対して何かを言っている場面です。このような場面で、「下にさせない」とは、物理的なことではなく精神的なこと、つまり「気持ちを下げさせない」ということを指しています。よりわかりやすく言うと、「がっかりさせない」ということですね。これらのことから、let you down は「あなたをがっかり(失望)させる」という意味であることがわかります。そして、won't は will not ですから、「~するつもりはない」という意味になります。
以上のことから、自分のことについて相手を納得させたいときに、「あなたを失望させるようなことはありません」とか「あなたの期待を裏切るようなことはありません」と言い切るときに使う表現なのです。
この表現を理解していると、映画やドラマの実に多くの場面で使われていることに気づくでしょう。自分で使う場面があるかどうかはわかりませんが、知っていて損はない表現です。