今回紹介する表現は、中学生や高校生のみなさんが授業中にALTの先生と話をしたりするときにとても便利な表現です。ぜひ覚えて使ってください。
では、なぜそれが「便利な」表現なのかというと…。結論はもう少し後にしましょう。最後まで読んでくださいね。
まずは、個別の表現を見ていきましょう。と言っても、ここでは depend しか難しそうな単語がないので、これを調べてみます。辞書を引いてみると、動詞として「頼る」「信頼する」などの意味があります。例文を見ると、たいていは on や upon などの前置詞とともに「~に頼る」などの意味で用いられています。しかし、タイトルの文を見ると、depend の後ろに何もないので、何に頼るのかがわかりませんね。
次に、主語の It も「それ」ということですが、何を指して「それ」と言っているのかがわかりません。おそらく、この文の前に「それ」にあたるものがあって、それを指しているのでしょう。そうだとすると、何の前触れもなくいきなりこの表現が使われることはなさそうです。たぶん、この台詞を言う前に誰か別の人がこの台詞を引き出すようなことを言ったのにちがいありません。
では、この表現が使われる典型的な場面を見ていきましょう。おそらく中・高生のみなさんなら授業中にALTと話していて一度は遭遇したであろう場面を取り上げてみます。
仮に、あなたが自己紹介で次のように言ったとします。
I like playing the piano. I practice the piano every day.
すると、ALTの先生は次のような質問をするかもしれません。
How long do you practice it?
ここであなたは「えっ!」と思ったとします。その理由は、曜日によっては塾に行ったりしているので、その日によって練習時間がちがうからです。「そんな…、曜日によってちがうから、一概には言えないよ…」と思ってあなたは黙ってしまいます。すると、ALTの先生はあなたが How long ~? の意味がわからいのだろうと思って…、あるいは近くにいる日本人の英語の先生もあなたを助けようと思って…
Two hours or three hours?
と聞くかもしれません。ところが、あなたは How long ~? の意味も Two hours or three hours の意味も知っているのに、何も言えずにそのまま黙ったままです。すると、ALT の先生は…
OK. Never mind. Next question.
と話を変えてしまうかもしれませんね。一方、もしあなたが「曜日によってちがうよ」とか「一概には言えないよ」という表現を知っていれば、この場を上手に乗り切れたかもしれません。
そうです。今回紹介する It depends. とは「一概には言えない」とか「それは~による」ということを伝えられる表現なのです。正確に言うと、この場面では…
It depends on the day.(それは日によってちがいます)
It depends on my schedule after school.(それは放課後のスケジュールによります)
などと言います。しかし、"on ~" の"~"の部分をはっきり言わなくてもいいように、その部分が省略された It depends. がよく用いられるのです。
実際の会話では、It depends. と言ったあとに、On Tuesdays and Thursdays, I practice for only one hour because I go to juku(cram school), but on the other days I practice for three or four hours. などと言えばいいでしょう。もちろん、上記のような説明が瞬時に思い浮かべられれば、It depends. は省略してそれを言ってもいいと思います。
他にも、この It depens. を以下のようなことを言いたいときに使うといいでしょう。
It depends on the situation. (場合による)
It depends on how you look at it.(あなたがそれをどう見るかによる)
あなたが太字の部分だけを言えば、相手は話の流れからその後の部分を想像してくれることもあります。あるいは、その部分は言いたくないんだろうなと思ってくれることもあります。「以心伝心」は日本人特有のコミュニケーション述と言われていますが、英語を話す人たちでも相手が言いたいことを想像してそれ以上突っ込むことをしない場合もあります。
どうでしょうか。たった2語の表現ですが、困ったときに使える便利な表現です。ぜひ覚えて使ってみてください。ちなみに、筆者はよく使っています(笑)。