【質問】
see, look, watch のちがいは何ですか?
【回答】
いずれも日本語では「見る」にあたる単語なので、特に中学校1年生から「これらのちがいは何ですか?」と質問を受けることが多いですね。しかし、多くの例文に出会ったり自分で実際に使ったりしているうちに、これらのちがいは感覚的にわかってきます。もちろん、そうは言ってもその感覚のかけらもない段階ではそれがわからないというのは当たり前なので、ここではそれを易しく説明しましょう。
この質問に対してズバリ答える前に、これらの3つの「見る」がどのような英文で使われているかを見てみましょう。
① Do you see that building? (あの建物が見えますか?)
② Look at the blackboard. (黒板を見なさい。)
③ I'm going to watch a movie tonight. (今夜は映画を見る予定です。)
いずれも教科書などでよく見かける表現ですね。それぞれの動詞が何を、どのように「見る」のかに注目してもらうと、なんとなくちがいが見えてくるのではないでしょうか。
えっ?「わからない…」ですか? はい。では、説明していきましょう。
1. see と look のちがいは、hear と listen のちがいに近い
タイトルを読んでもピンとこない人は、「20. hear と listen のちがい」を読んでからこちらに戻って来てください。
上記のページの要点は、hear が「(自然に)聞こえる」で、listen が「(意識的に)耳を傾ける」でした。これらの意味を「見る」に当てはめてみると…
・(自然に)見える
・(意識的に)視線を向ける
となりますね。では、see と look のどちらがどちらの意味になるでしょうか? 上の例文の①と②を見てもらうと一目瞭然だと思います。そうですね。
・see は「(自然に)見える」
・look は「(意識的に)視線を向ける」
このちがいは大きいいので、①と②の文で see と look を逆にすると意味的におかしな文になることがわかると思います。それぞれの動詞が持つ意味が大きくことなりますし、②の文では look の対象に対して at という前置詞が必要ですが、see にはそれが必要ありません。これは listen には to が必要であったのと同じです。
2. watch は「見る」瞬間よりもその後の行為に重点がある
まず、watch が使われる場面をもう少し見てみましょう。
④ I watched a video last night.
⑤ Let's watch a tennis match on TV.
③~⑤の watch の対象となっている語(つまり目的語)を見てみると、映画、ビデオ、テニスの試合ですね。こらに共通することはいずれも「動きのある視覚物」であるということです。つまり、ボーッと見て(see)いたり、一瞬だけ視線を向けて(look)いたりするだけでは、対象物の内容を見逃してしまいます。つまり、時間をかけてじっくり見る場合に使われているのがわかると思います。ここから、watch に関しては次のようにまとめられます。
・動きのある物を「見る」ときに使う
・内容を把握するためにじっと「見つめる」行為を表す
逆に言うと、Look at the picture. と言うことはあっても、Look at the movie. とは言わないこともわかりますね。ただ、I'm going to see a movie. と言うことはあります。おそらくこの場合は「まあ、劇場に座って映画でも見ることにするか…」となんとなくこれからしようとしていることを表しているだけなのでしょう。
なお、watch には次のような使い方をよく見かけます。
⑥ Watch the steps! (階段(段差)に気をつけて!)
これはバスなどの出入口にある注意書きとしてよく見ることができます。単に Watch out! とか Watch out for the steps. などと書いてある場合もあります。同じ「気をつけて。」という表現に
⑦ Look out!(気をつけて!)
という表現もありますが、⑥が段差で転ばないように注意深く歩いてほしいという場面で使われるのに対して、⑦はボールなどが飛んできて瞬間的にそれを見てぶつからないように注意を促すときに使われます。
いかがだったでしょうか。それぞれの動詞が持っている本来の意味を理解すれば、みなさん自身もこれらの動詞を正しく使いわけられるようになるでしょう。