ソーシャル・ディスタンス?

このことばを取り上げたと言っても、なにもその是非や意義について話題にしようというわけではありません。おそらく今年の流行語大賞の候補になることはほぼ確実なこのことばを、英語学習という視点から改めて見直してみましょう。

 

最初にこのことばをテレビで聞いたときは、「またなんだかむりやり「社会的な距離」を英訳したような和製英語が出てきたな…」と思ったものです。それは、social はわかるのですが、これに distance という語を付けてもしっくりこない印象があったからです。distance は確かに「距離」という意味がありますが、「社会的な距離」の意味がわかりません。

 

「こんな英語が本当にあるのかな…?」と思いつつも、いつの間にか日本人なら誰でも普通に使える表現にあっという間に昇格してしまったので、筆者自身も当初の疑いは忘れて普通に使ってきました。ところが、海外のニュースなどを見ていると、social distancing と言っているのをよく聞きます。最近何かと話題の多いトランプ大統領もそう言っています。

 

distancing と動名詞にしてくれれば、「距離をとること」という意味になりますから、social distancing は「社会的に距離をとること」になり、こちらの方がこの件に関して言いたいことに合致しているように感じました。そこでネットで調べてみると、やはり同じ疑問を持っていた人が少なくなく、「外国では social distancing と言っており、social distance は聞いたことがない」と言っている人や、「新型コロナウィルス感染症対策のために他の人と距離をとるということなら、social distancing の方がよい」と明言している人もいます。やはりそうでしたか。

 

まあ、私たち日本人の間でこれほどまで急速に広まった新語はそう多くない、いや今までの新語・流行語の中でも一番ではないかと思われる「ソーシャル・ディスタンス」ですので、それを会話の中で「ソーシャル・ディスタンシング」などを言ったら相手に眉をひそめられそうです。ここは、知り合いとの日常の会話では自分も同じ和製英語を使いながら、英語で話すときは正しい表現の方を使える準備をしておくということにしましょう。(7/25/2020)

 

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