車の思い出⑦:ホンダ ヴェゼル ハイブリッド X(VEZEL Hybrid X)

「車の思い出」シリーズ第6弾は、現在も乗っている「ホンダ ヴェゼル ハイブリッド X」です。筆者が新車で購入したものとしては第5弾の「ホンダ オデッセイ」に続く2台目のものです。

 

【モデル概要】

ヴェゼルは、2013年末にまったく新しいタイプのモデルとして発売されたもので、当時流行り始めていた SUV(Sport Utility Vehicle)を広く一般に知らしめることになった大ヒットモデルです。クーペのような流麗でグラマラスなスタイルを持ちながら、多少の悪路くらいであれば余裕で通過できる最低地上高を持ち、高い走破性と操作性を兼ね備えたモデルとして、若者から子供を育て上げたベテラン・ドライバーのハートもしっかりとらえました。当時のホンダとしては最新式のハイブリッド・システム「i-DCT」をフィットに続いて搭載したことでも話題になりました。

 

基本的には3代目フィットのシャーシやエンジンなどを流用しつつ、1ランク上のスペシャルティーカーとして発売されたもので、装備もフィットに比べると豪華です(その分、フィットより車重が約100kg増)。特にメーター周りのデザインが秀逸で、初期型前期のハイブリッド・モデルのメーターパネルは、普段は青い色が基調ですが、エコランを続けているとそれが緑色に変わり、センター・コンソールにある "SPORT" モード・スイッチをONにすると強制的にエンジンが回り始めて(モーター走行は強制的にカットされます)メーターが赤色になって“戦闘モード”になる点でが面白いと思います。

 

なお、フィットが2020年に4代目になると、その約1年後にはヴェゼルもフルモデルチェンジされた2代目(現行モデル)となりました。

通常走行時

エコラン走行時

SPORTモードON時


【購入エピソード】

第5弾として紹介したオデッセイが13年目を迎えたあたりでそろそろ次の車をどうしようかと考え始めていました。その頃はホンダ フリードが一番の候補でした。ところが、2013年末に発売されたヴェゼルをコマーシャルと店舗発表会で見て、「今度の車はこれしかない!」と考えるようになり、年が明けた2014年1月には契約しました。

 

オデッセイの燃費の悪さが気になったいたので、タイプはハイブリッドとし、グレードは装備がそこそこ充実している「X」としました。また、工場オプションのカーナビ、ウインドーバイザー、荷台の荷物を隠すトノカバー、Xでは標準装備でなかったキー連動自動開閉ドアミラーを付けました。

 

色は標準色のシルバー(アラバスターシルバー)よりやや暗い色調の「ティンテッドシルバー・メタリック」というオプション色にしました(写真は購入時に特別に売ってもらったカラーサンプル用モデル)。 

 

ところが、約半年前に発売された3代目フィットで i-DCT のトランスミッションのプログラム不良が多発し、同じシステムを使うヴェゼルにも同様の問題が起こったことで一時期生産・出荷がストップし、筆者の車が実際に納入されたのは契約から約5ヶ月が経っていました。ただ、幸いにもオデッセイの車検切れが少し先だったので、それまでは本モデルが納車されるのを楽しみに待つことができました。

 

ようやく納車されたわけですが、初めてこの車を運転したときは、過去の車では感じなかった戸惑いがありました。それはオデッセイに14年間も乗っている間に起こった自動車界全体の進歩によるものでした。とにかく多くの作業が電子制御で行われるようになったからです。エンジンをかけるにキーはいらずにボタンを押すだけ、シフト・レバーは「ガチッ」と入れるのではなく、「カクッ」と軽く動かすだけ、センター・パネルのスイッチはすべてタッチ式…。これらに慣れるまでは結構な時間がかかりました。 

 

なお、最初の12ヶ月点検時にフロントグリルをクロームメッキのものに交換し、夜間の車内をおしゃれに彩るイルミネーション(足下、センターコンソール、フロントスピーカー枠)を付けてグレードアップを図りました。

個性を引き出すクローム・メッキのグリル

夜の車内をおしゃれに照らすイルミネーション


 

【ドライブ・エピソード】

この車でもあちこちをド ライブしました。最も思い出に残っているのは、家族4人で出かけた東北旅行でした。そこには当然のように東日本大震災の被災地である宮城県と岩手県の沿岸部も含まれていました。筆者はすでに震災直後に仕事で現地を訪れて大変な衝撃を受けたことがありましたが、それを家族全員で共有したかったということもありました。 

 

また、2017年に大きな病気を患ってからは、夫婦でドライブに出かけるという機会も増えました。近場で半日から一日のドライブをすることはもちろん、1~2泊のドライブも何度も出かけました。妻との絆を深めることに貢献してくれた大事な車となっています。

 

成人した2人の子供はそれほど車に興味がないので普段はあまり乗りませんが、友人と出かけたり買い物に行ったり、長距離の家族旅行では交代で運転手を務めたり、家族の送り迎えをしたりという機会では積極的に利用しています。 

秋の北軽井沢で

茨城の龍神大吊橋で

雹の襲来(5/4/2019)


 

【長所・短所】

長所はいっぱいあります。

 

まずはスタイルの良さですね。モデル概要にも書きましたが、流麗でグラマラスなボディーは今見ても最高に美しいと思います。サイドの波を思わせるラインはとてもきれいですし、車の正面に立って見たときの圧倒的なボリューム感は過去に所有したモデルでは感じたことがないものです。また、内部は外側からの印象以上に広く、頭部付近は適度な圧迫感を感じさせながらも全体としては十分なスペースを確保したパッケージングの上手さを感じます。

 

次に燃費です。買い物などのチョイ乗りで14~16km/l、週1回の片道25kmの通勤で20~25km/l、長距離ドライブであれば25~28km/lで(高速は80~100km/h で流すと 23~25km/l)、最高は千葉県銚子から茨城県ひたちなか市までの平坦な道を走ったときの30km/lです。ガソリンタンクは40リットルなので、400kmくらい走ってもまだ半分ガソリンが残っています。感覚的にはオデッセイ(2代目)の3分の1しかガソリンを食わないという感じです。もっともそれは気候のよい春と秋の話で、真夏にエアコンを使うと20~30%くらい燃費が下がります。また、上記の数値はかなりのエコランを心がけているから達成できているもので、それを気にせずに加減速を繰り返すとすぐに燃費は落ちるでしょう。

 

そして最も強調したいのが運転のしやすさです。加速は低速時から軽く、いざ追い越しなどをするときにはモーターのアシストがまるでシティ・ターボに乗っていたときのようにグイグイと働いてくれます。乗車位置がセダンより約10㎝高く設定されていることも、少し見下ろすような視界の中で運転できるので安心です。

 

短所もいくつかあります。

 

最も困っているのがスポーツ走行を重視した設定のサスペンションの固さです。運転しているだけだと気づきませんが、助手席に座ると気になり始め、後部座席に座ると苦痛にさえ感じます。とてもではありませんが、ゲストを後部座席に乗せる気にはなりません。仕方なく載せなくてはいけない場合は、「乗り心地が悪いのでごめんなさい」と謝ってから乗ってもらっています。 これはマイナーチェンジで少し改善されたと言われていますがどうでしょう。

 

次にエアコンやカーナビの操作がすべてタッチパネル式であることです。反応が不確かであることに加えて、視線を前に向けたまま手探りで操作するということができない点が安全上も問題があります。先進性を売りにするための装備であったと思うのですが、実際に使用する人にとっては不便です。この点は2代目にフルモデル・チェンジした際に一部の操作がダイヤル式になるなどの改善が行われました。


それから初期型の前期モデルには「ホンダ・センシング」が付いていないことです。確か3万円ほどの簡易なもので(オプションで付けたのかどうか忘れました)、車速20km/hくらいで前の車に近づきすぎると警告音を発したり、交差点などで前の車にかなり近づいて止まった時に前を車が発進する前にエクセルを踏むと警告音とともにアクセルが踏めなくなったりするものが付いています。後者の場合はすぐにアクセルが回復しないので発進が遅れ、後続の車に「何やってんだ?」と思われていると思います。

 

あとこれは自分の車だけかもしれませんが、ワイパーが少しうるさいことです。ラバーを換えても直らないので、おそらく構造上の問題でしょう。大きなフロントガラスをふくためのアームが長く、それを押しつけるためのスプリングがかなり強いためと思われます。また、時々ですがしばらく振りに乗ると運転席のパワー・ウィンドーが下がらなくなくなることが比較的早い時期からありました。何度かスイッチを押しているうちに動くようになることがほとんどですが、これは初期生産品に多いトラブルかもしれません。

 

なお、納車前にあった i−DCT のプログラム不良は納車後もあって、確か2回ほどプログラム変更のためにディーラーに持ち込みました。しかし、その後はトラブルなく今日まで来ています。

前席は適度な圧迫感のあるクーペ感覚のスペース。後席は足下のスペースも十分。ただし、オデッセイのように後席をリクライニングできないのが子供たちには不評。

後席を前に倒すとかなりの荷物スペースができる


 

【お別れ?】

冒頭にも書きましたが、このモデルはまだ現役の車として我が家にあるので、「思い出」という過去形で紹介すべきものではないかもしれません。2024年6月でちょうど満10周年を迎えますが、走行距離がまだ32,000kmを超えたくらいなので、ハイブリッド用のリチウム・バッテリーも新車時と同じとまではいかないもののまだまだ元気です。現在の心づもりとしては最低でもあと1回は車検(11周年)をとおすつもりです。場合によってはその次の車検(13周年)もとおして長く乗り続けるかもしれません。