このタイトルに「にやっ」とした方は朝ドラファンですね? これは、現在放送中のNHK連続ドラマ小説『虎に翼』の主人公・猪爪寅子(いのつめともこ、演:伊藤沙莉さん)がほぼ毎回のように発する台詞です。日本初の女性弁護士の一人であり、初の女性判事や初の家庭裁判所長にもなった三淵嘉子さんをモデルとした話で、女性が男性と同様の法的権利を持っていなかった時代に、その状況を変えようと奮闘する物語です。
この「はて?」は、大抵は誰かの発言が理不尽であったり納得できないものであったりしたときに彼女のつぶやきとして発せられます。ときどき軽妙なBGMの最後に「はて」という言葉だけが入っているという遊びもあります。若い女性の視聴者も多く、近年の朝ドラの中では最高傑作であるという呼び声もあるので、年末の流行語大賞の候補になるかもしれません。
先日、妻とこの台詞を英訳したら何だろう?という話になりました。そのときに筆者が出した候補は…
・Why?
・Why not?
・What?
・How come?
だったでしょうか。もちろんこれらには後ろに文を完結させるためのいろいろな表現が来るはずですが、ほんの一瞬のつぶやきですので、英語にするにしても1音節の単語が1語か2語というところでしょう。
もっともこれらの後ろに具体的な表現がないからこそ、視聴者は「とらちゃん」(ともこの愛称)が何を言おうといているのかを想像しながら見るのが面白いわけで、残りの部分まで台詞にしまわないところが脚本家(吉田恵里香さん)の上手さでしょう。おそらくみんな「おっ、とらちゃんのあの台詞がまた始まったぞ…」と楽しんで見ているにちがいありません。(5/18/2024)