筆者は今から27年前に現在住んでいるA市に引っ越して来ました。生まれてから35年間過ごしたB市の北隣りにある町で、妻が生まれ育った町でもあります。
ただ、A市は地域の中核都市であるB市に比べるとかなり地味な存在の町で、北に接しているC市と比べると歴史的・文化的な視点で見劣りがし、西に接している同規模のD市には開発面で遅れをとっているという印象がぬぐえません。つまり、やや魅力に乏しい町ということです。筆者は勤務先がずっと都内であったこともあって、新しい”地元”であるA市になかなか愛着を持てずにいました。
もちろん、そのような印象を払拭するために、これまでに市内をあてもなくドライブしたり、市の境を超えるくらいまであちこちを散歩したりしてきました。しかし、そのようなことをしても自分の気に入った場所にはなかなか出会えず、「こここそオラが町の自慢の場所だ」と思える場所は見つかっていませんでした。
ところが、そのやや悲観的な印象が先日崩れました。つまり、自分が心から素晴らしいと思える場所を発見したのです。それは、「◯◯◯公園」という場所です。
この公園は、実は以前に何度か行ったことがあった場所でした。しかし、とても広い公園であることから、その一部しか知らなかったのです。地元だけでなく周囲の町の人にまで存在が知られている有名な公園であるのに、これまでその全貌を知らずにきたのがいけませんでした。
先日、妻がその公園にある花菖蒲が満開らしいから見に行ってみたいと言い出しました。ちょうど梅雨の合間の薄日が差しているような日で、筆者の大学の授業がない日でもあったので、行ってみることにしました。車で行けば10分くらいで着く距離です。
公園の見取り図では、菖蒲園は正面入口の駐車場の近くにあります。そこは以前に行ったことのある場所(裏口近くの小さな動物園)とは全く正反対の場所でした。平日の早朝でしたが、駐車場にはそこそこの車が停まっており、車から降りた人はみんな菖蒲池の方へ歩いていきます。それだけ多くの人に知られている場所なのでしょう。
菖蒲園が見下ろせる場所まで来たところで、筆者の目が大きく見開きました。なんと素晴らしい光景なのでしょう!こんなきれいな場所がこの公園にあることを今まで知らなかったなんて!遠くまでわざわざ出かけて行かなくても、地元に素晴らしい場所があるじゃないですか!
菖蒲園で心ゆくまで写真を撮った後は、もう1つの花菖蒲が咲いている場所に行くことにしました。そこは公園のもう一方の端にあるので、広い公園を歩いて横断することになりました。
ここでまた予想を覆す景色に出会いました。それまでそこは広い野原のような場所だと思っていたのですが、実際は雑木林に覆われた南国の森のような場所でした。見取り図に「木道」と書かれているとおりの木道が公園をまたぐように流れている小川に沿って設置されており、まさかこんなところにそれがあるとは信じられないようなところでした。夏に歩いたら、きっと涼しくて気持ちがいいでしょう。
途中にはホタルが見られる小屋のような施設もありました。6月下旬に来れば飛んでいるのが見られるそうです。ぜひその頃に来てみようと思いました。
もう1つの花菖蒲群は小さな池のほとりにありました。こちらは花の密度が最初の菖蒲園に比べてあまり高くありませんが、花を間近に見ることができるという手では勝っているように思いました。
さらに、その花菖蒲群から帰る途中で近くにあるバラ園も訪れてみました。残念ながらすでに花の盛りは過ぎていましたが、残っている花がきれいに咲いていました。こちらも大勢の人が訪れていました。その中の一人が犬と一緒にインコも“散歩”させており、そのインコを手に乗せた写真を撮らせてもらいました。
自分の車を置いた駐車場とは正反対の場所まで来てしまっていたので、ほぼ同じ道を歩いて帰りました。公園内だけで約7,000歩を歩いたといえば、公園の大きさがイメージできるかと思います。
今回は妻のお陰で美しい花々を鑑賞することができました。そして何よりも、地元にこんなに素晴らしい場所があるのだということを初めて知りました。ようやくこれで、自分の中に地元に対する愛着がわいたように思います。
きっと同公園内には他にも良いところがいっぱいあることでしょう。それを年間をとおして探ってみようと思います。(6/17/2023)
花菖蒲園の全景
150種類ある花菖蒲の1つ
もう1つの花菖蒲群
バラ園のバラ
バラ園を“散歩”中のインコ
川に沿って設けられた木道