バイクの思い出④:ホンダ CB750F インテグラ

同名タイトルのシリーズ4台目は、限定解除をして初めて手に入れた大型バイクです。そして、できることならもう一度手に入れたいバイクとして最有力のモデルです。

 

【モデル概要】

このモデルのスタンダードタイプ(CB750F)は、CB750(CB750フォアー)の後継機種として開発されたものです。1969年の発売当初は世界中を席巻したCB750も、数年後に登場したカワサキZ900RS(Z1)やその国内版であるZ750RS(Z2)の台頭で、人気に陰りが出ていました。それを挽回するために開発されたのがDOHC4バルブのエンジンで、それを初めて搭載したCB750Kが1978年に登場しました。

 

 

 

一方、海外ではよりスパルタンなスタイルのCB900Fが発売されていました。そして、国内でも排気量規制に合わせてその750cc版(CB750F)が1979年に発売されました。

 

タンクからサイドカバー、テールカウルへと延びる流線形のスタイルは当時としてはとても斬新で、他社を含めて以降に発売された多くのモデルに影響を与えました。また、市販車初のセパレート・ハンドルは飛ばし屋たちを喜ばせました。メーターは飛行機のコックピットをイメージしたもので、ビュンッ、ビュンッと軽快に針が跳ね上がるその様は実際のエンジン回転同様に刺激的でした。当然ながら、発売されるや爆発的な大ヒットを飛ばし、ナナハンとしては異例の台数が売れたとされています。

 

このモデルは3回のマイナーチェンジが施され、初代(1979年)が“FZ”、2代目(1980年)が“FA”、3代目(1981年)が“FB”、4代目(1982年)が“FC”と呼ばれています。FZとFAはほとんどちがいがわかりませんが(FAは前照灯がハロゲンライトになった)、FBはホイールが反転コムスター、FCはブーメラン・コムスターなので、他との見分けがつきやすいです。

 

 また、FBにはボルドール・カラーの「ボルドール2」(CB750FBB)も限定発売され、後付けで輸出車(「CB900F2 ボルドール」)と同タイプのフルフェアリングを付けることができました。そしてFCになると、正式に最初からフェアリングが付いた「インテグラ」(今回紹介するモデル。輸出用の900は「CB900F2 ボルドール」)も発売されました。

CB900F(Z)

CB750FZ

CB750FA


CB750FB

CB750FB ボルドール2

CB750FC


 

【購入エピソード】

当初、このモデルはそのスタイルから強制される前傾姿勢が長距離ツーリングには向きそうもないと思い込んでいたので、購入対象としては全く頭にありませんでした。ところが、限定解除をするための練習用として「ホンダ・レインボー・スクール」(埼玉県和光市)でこのモデル(CB750FC)に乗ったことで、その印象が全く変わりました。

 

初めて乗ったのに、ものすごく乗りやすく、自分の意のままにコントロールできました。その印象により、限定解除の試験では、機種を選べる時には真っ先にこのモデルに飛びつきました。おかげで、このモデルを選んだ2回目(通算8回目)に合格することができました。

 

それからはもう、このモデルしか頭にありませんでした。そして、限定解除の約半年後の1985年に、よりロングツーリングに適したカウリング付きの「インテグラ」(赤白カラー)を新車(新古車)で手に入れました。FCも1983年には生産が終了していましたが、在庫をかかえている店が何軒かあり、おかげで新車価格(75万円)の20万円引きで購入することができました。もちろん、それでも55万円もしましたから、購入したのは働きだして数ヶ月経ってからでした。

 

【長所・短所】

一番の長所は、何と言ってもその美しいスタイリングです。発売開始から40年以上が経った今見ても、全てのバイクの中で一番だと思います。もし今バイクを買うとしたら、迷いなくこのモデルの中古車を買うでしょう。ただし、国内モデルは超プレミアム価格になっているので、逆輸入車のCB900F2ボルドールでしょうかね。

 

件の乗車姿勢については、購入前は長距離ツーリングには不向きかなと心配していましたが、乗り慣れてみたらそんなことはありませんでした。また、フェアリングの威力は絶大でした。高速道路でも風は全く気にならず、多少の雨くらいならしばらくは濡れずに走れました。

 

そして、軽々と吹け上がるエンジンは、気を付けていないとあっという間に制限速度をはるかにオーバーしてしまうほど快調でした。もちろん、おそらく200km/h近くは出るであろう最高速度を確かめることはできませんでしたが…。

 

燃費はチョイ乗りで20〜23km/l、ツーリングで25〜27km/l と、この排気量のバイクとしてはとてもよく、北海道では28〜30km/l も走りました。それは前回紹介したホークⅡ(400cc)より良いくらいでした。ガソリンタンクが20リットルもあるので、ツーリングなら一度の給油で500km以上走れました。

 

短所は、尻上がりのスタイルによってシート高が高いこととサイドカバー部が出っ張っていることによる足つき性の悪さで、短足の筆者では両足のつま先がなんとか着く程度でした。交差点で止まるときは、いつもヒヤヒヤしていました。

 

【ツーリング・エピソード】

このモデルでもあちこちに行きました。北海道も2回行っています。あの一直線の大地をこのモデルで走る醍醐味にはしびれたものです。

 

このころはテントと寝袋を積んで野宿をする一方、いわゆる「ライダー・ハウス」という無料宿泊所に泊まることも多く、そこで知り合ったライダーたちと一緒に走ったりもしました。

 

また、長距離を走ってもそれほど疲れないので、北海道からの帰りに一日に830km(八戸→三陸→埼玉)も走ったこともありました。しかも全て一般道だったのですから、どれだけ楽に走れたかがわかるでしょう。もっとも、夜通し朝まで走ったので、眠気との闘いが大変でしたが…。

 

ただ、一度だけツーリング中にうっかりしてバイクを壊してしまったことがありました。コンビニに寄った後に勢いよくスタートしたところ、目の前にあった車止めに乗り上げてひっくり返ってしまったのです。そのせいで左前のウィンカーを割ってしまいました。不注意が最大の原因ですが、カウリングに隠れて眼下にあった車止めに気づかなかったというのも事実です。

 

なお、このバイクでの一番のツーリングの思い出は、その数年後に病で亡くなることになる父と、たった一度だけ一緒に行った半日ツーリングでした。父はその時CD125に乗っていたのですが、珍しく父の方から「一緒にツーリングにでも行こうか」と誘ってくれました。

 

【お別れ】

このバイクを購入して3年ほど経った頃、もう一台バイクが欲しくなって、次々回紹介するハーレーを買いました。その時はこのバイクを手放さなかったので、一時期は大型バイクを2台(次回紹介するXL200Rを含めると3台)所有して、気分に応じて乗り分けていました。

 

ところが、職場で筆者のバイク熱に刺激されて限定解除をした後輩からこのバイクを譲ってもらいたいと懇願され、売り渡すことにしました。値段はこちらの言い値でいいということで、購入価格の6割くらいで譲りました。

 

売ってしまった後もその後輩とよく一緒にツーリングに行ったので、しばらくは自分のバイクをツーリング先に2台持っていっているような感覚でした。(3/11/2023)

 

九十九里浜(千葉)で

奥入瀬渓流(青森)で

宗谷本線(北海道)で


夏の妻籠宿(長野)で

秋のコスモス街道(群馬)で

冬の正丸駅(埼玉)で


 

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