留学中の支払い方法

今回の話は、「170. 現金の使い道」を書いている間に思いついたものです。現金を使わなくなったという話を書いているうちに、「そう言えば、(アメリカに)留学中も現金払い以外の支払い方をけっこうしたな。その話でもしようか…」と思いたち、新しいページを書き始めたというわけです。

 

筆者がアメリカの大学に留学していたのは1983-84年なので、もう20年も前のことになります。その頃のことを話しても仕方がないのですが、実はその時点でも一般の人々の間では今の日本より現金を使う比率は低かったという印象があります。現金を使うのはほんの少額のときで、基本的には財布などは持っておらず、男性であればズボンのポケットに無造作に小銭を入れておき、払うときにはポケットからクシャクシャになった小額紙幣と貨幣を取り出して支払うという感じでした。

 

アメリカの人が現金を持たずに他の方法で支払うことが多い理由は、その方が便利であるということ以外に現金を持ち歩くのは危険であるということもあります。現金を、しかも多額の現金を持ち歩いていることがわかると、強盗に遭う危険性が高まるからです。上の段落で財布を持ち歩かないということを書きましたが、それも自分は多額の現金は持っていないということをアピールするためと思われます。筆者の場合はなかなか日本での習慣が抜けきらずに財布を持ち歩いていましたが、それは比較的安全な田舎の街で暮らしていたからこそできたことだったのでしょう。

 

では、現金を使わずに払う方法は何かというと、それは大きく2つありました。1つは当時の日本でも一般になりつつあったクレジット・カード、そしてもう1つは日本ではほとんど見かけない小切手(パーソナル・チェック)でした。筆者も念のために日本からクレジット・カードを持って行っていましたが、どうしても電信支払いをしなければならないときを除くと、ほとんどはパーソナル・チェックを使っていました。

 

日本で小切手というと、今でもあまり一般の人にはなじみがありませんが、当時も相当のお金持ちや大会社の社長さんがササっと書いて誰かに渡すというイメージがありました。それをごく普通の、しかも外国人である筆者も利用できたのですからとても便利でした。そして、なんだか日本では使えないものを使えるという優越感がありました。パーソナル・チェックを手に入れるには地元の銀行に口座を開く必要があったので、下宿の家主に保証人になってもらって口座を開きました。

 

では、そのパーソナル・チェックというのをどのように使うのかをお教えしましょう(エッヘン!)。

 

まず、右上に支払日を書きます。次に中央の上段に支払い相手を書きます。次にその右に支払い額を数字で書きます。そしてその下の段に支払い額を英語でつづります。数字とつづりの両方で支払い額を描くことで、読み違いや書き間違いを防ぐわけです。そして最後に右下にサインをします。記入欄のレイアウトはたいていどこの銀行のものもほぼ同じになっています。

 

ちなみに、下に筆者が持っていた最もシンプルなデザインのパーソナル・チェックの、帰国日に記録として書き方を残しておいた見本を載せておきましょう。支払い相手は「アメリカ合衆国」、支払い額は「500ドル」としてあります。なお、数字の下線が引かれている "00" とつづりの "NO/100" とは、ドル未満の単位(セント)の金額が0であるという意味です。それを "00" 及び "NO" と表します。もし「50セント」があるようでしたら、それぞれ "....50"、"...and 50/100" と書きます。

 

左上:筆者の氏名と住所、左下:銀行名と所在地、右下:筆者のサイン、左底部:小切手ナンバー

 

なお、小切手のデザインはバックに絵が入っているものもあり、筆者もそのようなカラフルなものをいくつか持っていました(下記のもの)。手持ちの小切手帳を使い果たすと新しいものが無料でもらえるのですが、そのときにいくつかあるデザイン(季節毎に変わる)を選ぶことができました。記念品として持ち帰るためにわざと1枚ずつ残しておいたものですが、上の無地のものと合わせると最終的に4冊使ったということになります。

夏から秋の全米の景色版

全米の有名な景勝地版

冬の全米の景色版


 

手書きで書いて渡すという、なんだから日本でも受け入れられそうなもので、とても使いやすかったのを覚えています。現在のアメリカでもまだ使われているものかどうかはわかりませんが…。(2/18/2023)